Question

がんが見つかった母への接し方

母にすい臓がんが見つかり、緊急入院することに。父や姉妹と相談して、告知せずにふだん通りに接することに決めました。しかし、いままで私が仕事や遊びなど自分の用事であまり家にいなかったので こうなってみると「ふだん通り」ってどうしていいのかがわかりません。ふだん通りを意識すればするほど、不自然な振る舞いになってしまい、母に怪しまれるのではないかと思うと、不安になります。

女性/20代

2021/12/21

Answer

私たちは、日ごろあまり意識せずに、家族と接していることが多いのではないでしょうか。改めて「ふだん通り」とは何なのかと考えてみると、すぐに答えが出ないものですよね。また、意識して「ふだん通り」を演出するというのは、あなたが感じているように、より不自然になる可能性が高いかもしれません。


 病名にかかわらず、緊急入院をするというのは、本人にとっても家族にとっても非日常的な出来事ですから、「ふだん通り」ではいられないというのが、自然な反応なのではないでしょうか。母親が入院すれば、心配したり、不安を感じたりするのは当然のことですので、入院前と同じような対応をしなければと、無理に考えなくてもよいでしょう。


 お母さんと接するときには、「ふだん通り」でなくてもよいので、お母さんが少しでも笑顔になれる会話をするなど、ほっとできる時間を持てるように工夫してはいかがでしょうか。あなたが今まで家にいることが少なかったのであれば、お母さんとゆっくり話ができるよい機会になるかもしれません。お母さん自身も不安でしょうから、そういった気持ちを聞いてあげたり、受け止めてあげたりすることも大切だと思います。


 また、家族ががんなどの病気になったとき、告知をするかしないかというのは大きな問題です。今回あなたと家族は、お母さんの性格なども考え、いろいろと悩んだうえで、告知しないことに決めたのでしょう。こういった問題には、どちらがよい、悪いという答えはなく、身近にいる家族が決めたことが、よりよい選択と言えるのかもしれません。


 ただ、告知をする、しないのどちらにも、メリットとデメリットがあることは認識しておいたほうがよいでしょう。本来は、患者本人が自分の病気について理解し、医師と相談しながら治療方法などを考えていくことが望ましいと思います。とくに、治療がむずかしい病気の場合は、その人の人生にかかわる重大な選択となりますので、本人がどうしたいかという意思を尊重することも大切です。告知をしない場合は、本人が十分に治療方法の検討や選択をすることができない、周囲の対応に違和感を覚え、かえって不安が大きくなるなどのデメリットが考えられます。


 もちろん、告知をしない場合でも、日々どう過ごしていきたいかについて、お母さんの考えや思いに耳を傾けてあげてください。また、お母さん自身も、緊急入院をした時点で、いろいろな可能性を考えていると思われます。体調の変化から、自分の状態を敏感に感じ取る人も多いので、今後、お母さんが本当の病気に気付いたり、疑ったりしたときにどうするかも、事前に考えておいたほうがよいでしょう。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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