心不全の治療薬の種類や効果

心不全の治療薬にはどのようなものがありますか? 新しい薬も出ていると聞きました。具体的な治療薬の種類や効果について教えてください。
この質問への回答
国立循環器センター 心不全・移植部門 部門長 泉 知里
心不全の治療薬には以下のようなものがあります。
① 血圧を上げるホルモンの働きを抑え、心臓を守る薬である「ACE阻害薬」、「ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)」、「アルドステロン拮抗薬」
② 心臓の負担を軽減する「β遮断薬」
③ 体内の余分な水分を尿として排泄させて心臓を楽にする「利尿薬」
④ 心臓の働きを強化させる「強心薬」
さらに、最近ではこれらとは異なる仕組みで心不全を改善させる、新しい治療薬が登場しました。
「ARNI(アーニー)」は先のARBに加えて、心臓に対して保護的に働くナトリウム利尿ペプチドの作用も併せ持つ薬です。「SGLT2阻害薬」は血糖値を下げて体の余分な水分や塩分を排泄させる作用があります。もともと糖尿病の治療薬でしたが、糖尿病ではない心不全の患者さんの再入院や死亡率を減らすことが多くの研究で証明されています。「イバブラジン」は心拍数を下げることで心臓を休ませて機能回復につなげる薬です。「ベルイシグアト」は、心筋や血管のコントロールに関わる物質のcGMP(環状グアノシン一リン酸)の産生を促すことで、心不全の進行を抑える効果が期待できる、慢性心不全の治療薬です。
心不全に特効薬はありません。しかし、こうした治療薬によって入院を防いだり、生活の質(QOL)を改善したりすることが期待できます。
※2025年2月23日時点の内容です。


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