歯科治療で1回に1本ずつしか処置しないのはなぜ?
先日、歯が痛くて歯科を受診したところ、虫歯が複数見つかりました。子育て中で通院が負担となるので、早く治療してもらいたいのですが、1回の受診で1本ずつしか処置されません。なぜ、ゆっくりと治療を進めなければいけないのでしょうか。
女性/30代
2024/11/22
歯の中には、神経や血管が通っている管「歯髄」という軟らかい組織があり、根の先のほうの小さな孔(あな)で、あごの骨の中の神経や血管とつながっています。
歯髄が、虫歯(う蝕)や外傷で細菌などに感染したときは、歯の痛み、歯肉の腫れなどが起こります。その歯を残し機能を保ちたいときは、歯髄の一部や全部を除去して歯を残す治療を行う必要があります。その治療は専門用語で「歯内療法(根管治療)」と呼ばれます。
たとえば虫歯による根管治療を行う場合は、虫歯の部分を削り取り、歯髄まで穴をあけ、感染により変質した歯髄を除去します。歯髄腔と、それにつながる根の中の管(根管)の壁を少し削り、全体をきれいに注意深く清掃します。
このとき、歯髄腔の形や根管の数や形は、曲がっていたり、枝分かれしていたりして、個人差や歯の状況により違いがありますので、μ(ミクロン)単位の細かな仕事が必要です。
また、一度細菌に感染してしまった根管を完全に無菌化することは困難なので、ある程度時間をかけ、感染の治療具合を確認しながら進めることが通常です。総じて根管治療は歯科治療のなかでも相当な技術を要します。
根管治療で歯の内部の神経は取り除きますが、歯の周囲にも神経があり、治療後は程度の差はありますが、周囲の神経に一時的に痛みが出たり過敏になったりすることがあります。
このように、根管治療は高度かつ繊細な治療で、複数回に分けて、患者さんに痛みなどが起こらないか、感染の治療がうまく進んでいるかを確認しながら慎重に行うことが一般的です。
根管治療について、疑問に思う点について主治医と相談し、理解を深めながら、治療を進めていくことをおすすめします。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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