よくなったり悪くなったり、薬を飲んでも繰り返す耳鳴り

耳に響く雑音を総称して「耳鳴り」といいます。静かな環境で耳に雑音を感じるときは、血管を流れる血液の音を聞いている場合があります。この音は、鼓動(拍動)の音ではないので「ジー シャー」などと断続的に聞こえることが多いです。

耳鳴りには、健康な人でも起こる心配のないものもありますが、症状が続く場合には、耳や脳などの問題が原因の可能性があります。心身のストレスも、耳鳴りの原因の1つです。

さまざまな検査の結果により原因が判明すれば、原因に対する治療が優先して行われますが、耳鳴りの原因がはっきりわかるのはほんの一握りともいわれており、ほとんどは原因不明です。

一般的に原因のはっきりしない耳鳴りは、時間の経過とともに脳が慣れてくるため、徐々に感じなくなることが多いのですが、生活に支障を感じるような場合は、耳鳴りを抑える治療や耳鳴りを意識しないようにする心理療法などが行われます。

治療法としては、血管拡張剤、ビタミン剤などの薬を使ったり、雑音で耳鳴りを遮蔽するために機械を使ったり、電気刺激（鼓室に針を刺し、弱い電流を流す）などがあります。

内服薬などの一般的な治療方法では効果がみられず、生活上の苦痛が大きい場合には、TRT療法をすすめられる場合があります。TRT療法は、耳鳴りを消失させる治療法ではありませんが、耳鳴りによる苦痛や生活への障害を軽くするための順応療法です。具体的には、カウンセリングと音響療法を組み合わせて行われます。

音は、言葉や音楽などの有用な音、冷蔵庫の音など無視してよい音、危険で注意を払うべき音に大別され、耳鳴りは、危険で注意を払うべき音として認識されてしまうため、苦痛が生じます。

TRT療法を行うことで、危険でない音であると認識すると同時に、雑音を聞くことで徐々に無視してよい音と認識されるようになります。この療法は、6カ月以上の期間が必要となりますが、約80％の方で耳鳴りのわずらわしさが軽減するといわれています。

耳鳴りの治療は、時間が長くかかることが多いため、かかりつけ医とよく相談しながら検討していくことが大切です。ご相談者は耳鳴りがくり返し起こっているご様子ですので、総合病院の耳鼻咽喉科で病気の有無や治療について一度ご相談してみてはいかがでしょうか。