Question

乳がん手術の種類や術後について知りたい

乳管がんの疑いで通院中です。主治医から、非浸潤がんだった場合は乳房全摘になる可能性があるといわれています。温存手術と全摘手術の違いや術後のことなどについて教えてください。

女性/50代

2023/09/03

Answer

乳がんの手術は、乳房温存手術と乳房切除術(全摘)に大別されます。

まず乳房切除術は、乳頭、乳輪、乳房のふくらみ、乳房の皮膚の一部、これらをすべて切除する手術方法です。がん細胞を残さないように切除し、皮膚を縫い合わせて終了します。非浸潤がんの場合は、手術で取り切れば完治すると考えられており、ご相談者の主治医もその意味で全摘の可能性を示されたのでしょう。浸潤がんの場合は、その他の薬物療法などを組み合わせて全身の経過を診ていくのが一般的です。


全摘の手術後は乳房のふくらみが消失し、乳頭や乳輪がない状態です。真ん中近くから横、または、わきの下に向けて少し斜めの手術創がありますが、がんの位置、乳房のボリューム、患者さんの体型(やせ形、中肉中背、肥満型など)によっても手術創は異なります。切除後は、市販の専用パッドなどの補正具を使って外形を調整したり、希望があれば、乳房再建術の選択も可能です。

乳房再建術は、手術後、時間をおいて行う二次再建と、がんの切除と同時に行う一次再建(同時再建)があり、一部が健康保険の適応となっています。再建は自家組織(おなかや背中の組織を移植)によるものと、インプラント(人工物を挿入)による方法があり、近年は症例も増え、技術も向上しています。


一方、乳房温存手術は、がんの病変部分のみを切除する方法で乳房の整容性は保たれます。しかし、術後の放射線療法とセットと考えたほうがよいでしょう。全摘に比べて乳房内の再発の懸念が残るため、温存手術の場合は、ほぼ放射線治療を行うことがすすめられています。

また、近年は早期のがんで切除しない治療法として、ラジオ波焼灼療法などが開発されてきています。適応できる症例はまだ限られており、今後の普及が期待されています。


ご相談者は、主治医の診察や検査をふまえて今後の治療方針を決めていく段階のようなので、具体的な治療については主治医とよく相談なさってください。通院先に「がん相談支援センター」があれば、一般の療養(手術後の傷や補整具、生活の工夫など)について、情報提供や相談が受けられると思います。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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