Question

高齢者の胃ろうと経管栄養、メリットとデメリットは?

入院中の父の今後について、胃ろうを設けて退院するか、経管栄養のまま療養病床へ転院するかの選択に迫られています。現在はミトンで両手を抑制され、意識レベルも低下して本人の希望は聞けません。胃ろうの高齢者の受け入れ可能な介護施設があるかなども含め、それぞれの長所と短所を教えてください。

男性/50代

2023/01/13

Answer

お父さまによりよい方法はどちらか、悩んでいらっしゃるのですね。ご本人の意思が確認できない状況での選択に、家族として悩むのも無理もないこととお察しします。


胃ろうと経管栄養はどちらも、口から食べることができない、または食べる量が少ない患者さんに管を通して栄養を送り込む方法です。胃ろうの場合、おなかの壁と胃壁に小さな穴をつくって管を挿入し、管から胃に栄養物を注入します。胃ろうの造設方法には「経皮内視鏡的胃ろう造設術(PEG)」と「開腹胃ろう造設術」の2つがありますが、近年は局所麻酔で手術できて合併症が少なく、患者さんの負担も少ないことからPEGが主流です。一方、開腹手術による増設の場合は5cmほど切開する必要があり、傷口の化膿などの合併症がまれにみられます。手術後の処置はPEGと同様です。

このような造設方法は、患者さんの全身状態などを考慮して医師が判断します。傷が安定したらシャワーや全身の入浴も可能です。また胃ろうの造設後も口から食事ができますが、飲み込みが悪いなど問題がみられる場合は医師の指示・指導を受ける必要があります。


続いて経管栄養についてです。経管栄養は鼻から栄養チューブを入れ、管から流動食を胃に注入する方法です。一般的に、管の通り道となる鼻やのどに違和感・痛みを伴う傾向があります。また、絆創膏で管をとどめるため、顔を清潔にして見た目を整える必要もあるでしょう。常に鼻からチューブがついた状態となるため安静にしがちですが、車椅子で散歩する、人とふれあう機会を設けるといった生活に楽しみをもたらす働きかけも大切です。


上記の胃ろうと経管栄養の特徴をふまえ、共通する注意点は以下のとおりです。

●口から食べることができないつらさ、楽しみの喪失に理解を示しつつも、注入時には流動食も1つの食事方法であることをよく伝える

●注入時の姿勢、注入温度や速度、時間など個々に適した方法を医師が指示するため、その指示を守る

●下痢や便秘、嘔吐などの症状があれば医師に報告する

●栄養状態の把握のため、体重の増減に気をつける


お父さまは現在、ミトンを装着し手の動きを抑制しながら経管栄養を受けているとのこと。これはご本人が管を触ってしまうことがあるため、予防措置をとっているものと考えられます。すでに管により何らかの負担がかかっている可能性もあるでしょう。


最後に、胃ろうや経管栄養を行っている高齢者の介護施設の受け入れについては、各施設の体制によって異なるため一概には言えません。どちらの処置にするか決める前に、入所を希望する施設へ直接問い合わせることをおすすめします。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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