子育てがうまくいかず、自分を責めてしまう
乳幼児の子どもがよくぐずり、気持ちを理解しようとするのですが、うまくいきません。自分はダメな母親だと、ますます自信がなくなっています。どうしたよいでしょうか?
女性/20代
2022/06/26
育児をきちんとしようとしすぎて、ご相談者が疲れてしまわれないか気がかりです。時間や体力には限界があるので、できるだけ余裕を残すことも大切です。そのためにも育児は完璧である必要がないことを知っておくとよいかもしれません。
子どもの発達を研究したイギリスの小児科医ウィニコットは「ほどよい母親」について述べています。乳児は最初のうち母親が自分の欲求を満たしてくれている認識がなく、自分の思いは何でも叶えられるのと錯覚しています。欲求はいつも満たされるといった感覚です。しかし、母親がいつも子どもの欲求に即時に応えられるわけではなく、子どもの気持ちにぴったり添った共感ができるとも限りません。すぐ対応できない時間差があることや、何を求めているのかわからないことも生じます。しかし、この自然に生じるずれによって乳児は自分とは違う母親や外の世界に気づいていけるのです。
つまり、このずれが子どもの成長にとって大切な経験であると伝えています。少しの間我慢して待つことや母親がいない時間があることで、世界が自分の思い通りに応えてくれるわけではないと知り、自分の万能感を少しずつ手放していきます。母親に依存することと自立することの両方を体験している時期といってもよいでしょう。
「よい母親でなければ、子どもに悪い影響を与える」と気づかないうちに自分に厳しい言葉を発してしまうこともあります。ウィニコットは自然に生じる直感や自分のやり方に従うことが、むしろ母親のよい心の状態であると伝えています。愛情ある育児には、ちょっとしたずれも必要と考えてよいでしょう。一生懸命でも時にずれてしまったり、失敗してしまう母親はむしろ「ほどよい母親」といえるかもしれません。少し肩の力を抜いて「できる範囲でよい」と自分に言い聞かせるようにしてみてくださいね。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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