過敏性腸症候群とほかの病気との違い
最近、吐き気や食欲不振があり、下痢もよく起こします。病気なのかわからないといわれました。もともとうつ病があるため、過敏性腸症候群の可能性が高いといわれたものの、吐き気があり、だるさもとれず、ほかの病気の可能性もあるとのことで不安です。過敏性腸症候群とほかの病気との違いを教えてください。
女性/40代
2022/05/23
過敏性腸症候群は、おもに腹痛と下痢・便秘などの便通異常がみられる病気です。診察や検査で炎症や潰瘍など、症状をひきおこすような異常を示す所見が認められない状態です。一方で、患者さんには自覚症状があり、症状によって日常生活に支障をきたすなど、心身の負担を伴うこともあります。
典型的な症状は下痢や便秘、下痢と便秘が交互に起こるといった排便障害で、そのほか、腹痛、腹部の不快感、おなかが鳴る、腹部のガスによるおなかの張りなど、さまざまな消化器症状がみられます。一般的には、腹痛は排便によって症状は落ち着き、排便回数は多い傾向があります。これらの自覚症状は、おもに大腸の過度の緊張によって、大腸の動きや働きが悪くなっていることが背景にあるといわれています。
だれにでも起こり得る病気ですが、医療機関で過敏性腸症候群の診断や治療を受けている人は少ないとされています。どの世代でも発症し、女性が男性の1.6倍多く、加齢とともに低下する傾向があります。原因は、はっきりわかっていませんが、感染性腸炎にかかり、その治癒後になりやすいことが知られています。また、過敏性腸症候群はもともとの体質や、ストレスの度合いなど、複数の因子が複雑に絡み合って症状があらわれ、いったん症状が和らいでもくり返し再発し、経過が長いことが特徴です。
ほかにも、不安やストレスなどの心理的な変化、高カロリーや脂肪の多い食事、コーヒーや紅茶、乳製品などの食品、指示量以上の下剤の使用などにより、消化管が過度に刺激されて症状をひきおこします。試験や面接などの一過性の強いストレスがあるときに起こる下痢の症状とは違い、過敏性腸症候群はストレスから解放されても自覚症状が持続します。誘因となる刺激は同じであっても、過敏性腸症候群では大腸が強くけいれんを起こして腹痛を感じ、過度の緊張や不安によって腸の動きが過敏になり、下痢や便秘を起こします。自覚症状を過度に心配すると、症状が長引くこともあります。
ただ、過敏性腸症候群は生命にかかわることはなく、症状が軽度であれば様子をみても差し支えない病気ですが、症状とうまくつき合っていくことが大切です。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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