単身赴任の夫が毎日「会社を辞めたい」と言う

かわいい子どもたちや妻と離れ、ご主人は慣れない土地で闘っておられるのですね。周囲の人の対応も冷たいようで、ご主人にどれほどの負担がかかっていることかと、お察しします。

最初に大事なのは、夫の状態を見極めることです。毎日「辞めたい」とくり返し言っているようですが、どのくらい辞めたい気持ちなのでしょうか。単に赴任先の居心地が悪いために「いやだな」という程度なのか、あるいは本当につらくて家に帰るしかないという深刻な事態なのでしょうか。

もし、堪えられないほどつらい状況であれば、無理に励ましても効果は得られず、むしろよけいにプレッシャーがかかり、追い詰めてしまうことになります。睡眠や食事も十分にとれないほど疲れて出勤がむずかしくなっているなら、ご主人のおかれている環境を見直さなければなりません。その場合、職場の上司や産業保健スタッフの保健師や産業医に相談し、業務が円滑に遂行できるよう調整することになります。もし上司に相談することができない場合は、前任地の上司に相談する方法も考えられます。くれぐれも、すぐに退職することは避けたほうがよいでしょう。

体調が崩れている場合には、一旦休職してエネルギーを回復させる方法が考えられます。家計を心配されるかもしれませんが、企業や健保には休職中の療養手当などの保障制度もあります。支援やサービスを利用しながら、体調を整えていきしょう。

また、体調や日常生活には影響していないけれど辞めたいと言っているのであれば、その気持ちをしっかり受け止めましょう。アドバイスはせず「そう、つらいのね」「大変ね」と、静かに話を聞いてあげるだけでよいのです。

ご主人があなたやお子さんに会いたいようなら「私も子どもたちも会いたいと思っている」と伝えましょう。まめに連絡を取り合って、お互いの様子や気持ち、お子さんの学校でのできごとなどを伝えてくださいね。距離が離れていても、同じ気持ちを共有する家族であるという意識をしっかり確かめることが大事です。そのことが心の安定につながるのです。

そして、あなた自身は夫の心の不安の渦に巻き込まれないよう、健康に過ごすことを心がけてください。ご主人がいないさびしさや心細さもあると思いますが、上手に息抜きをしながら、ゆったりとした気持ちで日々を送ってくださいね。