Question

習慣に配慮しても便秘に。遺伝因子はある?

毎日定期的な排便がなく、気づいたときは、便秘になってしまいます。運動もしていますし、野菜もしっかり食べているのですが、なぜでしょうか? 母親も便秘症なのですが、便秘に遺伝って、あるんでしょうか?

女性/30代

2022/01/28

Answer

お通じは生活習慣を整えると多くは改善されますが、食事や運動などで工夫しても便秘になるのは、お母様から受け継いだ遺伝的な要因があるのではと感じていらっしゃるようですね。今回は、便秘を起こす要因について考えてみましょう。


まず、消化管の構造や働きについてご説明します。消化管は口から食道、胃、十二指腸、小腸、大腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸の順)、肛門からなる食物を消化吸収する器官です。小腸は5~7m、大腸は1.5~2mもの長い器官です。消化管内で食物を送る胃や小腸・大腸の腸の壁は平滑筋という筋肉で構成され、消化管の蠕動(ぜんどう)運動というゆっくりした動きによって、食べたものが肛門まで運ばれます。胃で消化された食べ物は、小腸では液状の状態で、小腸を通るときに必要な栄養を吸収して大腸へ送られ、肛門までゆっくりと運ばれます。大腸の入り口では、液状の便の水分が吸収され、徐々に便が形づくられます。


胃や腸は、自分の意思とは無関係に、臓器の働きを調節する自律神経によってコントロールされています。自律神経は交感神経と副交感神経があり、副交感神経が優位になると消化管の蠕動運動が活発になり、ストレスなどによって交感神経が優位になると、消化管の動きが低下します。


便秘とは排便が順調に行われない状態をいい、4日以上排便がみられないなどの典型的な症状のほか、1日1回排便があっても量が少ない、残便感がありすっきりしない、便が硬くて排便できない、排便間隔が不規則といった症状があります。


便秘の主な分類は以下のとおりです。

●一過性の便秘

食物繊維が少なく偏った食事、水分不足(多発汗、水分摂取の不足)、便の水分の不足、環境の変化、過度の緊張があったなど一時的な要因で起こる。


●慢性の機能的便秘:便がつくられる過程や排便の仕組みに問題があるとき

・弛緩性便秘:腸の運動や筋力の低下によって起こる。日本人に多い。食生活の工夫と全身運動で改善。

・けいれん性便秘:腸が過度に緊張し、便の通りが悪くなって起こる。下剤の使い過ぎや過敏性大腸炎などにみられる。

・直腸性便秘:便が直腸まで下りているのに、排便の反射が弱くなっている状態。便意をがまんしたり、下剤や浣腸の使い過ぎが要因。


●器質的便秘:腸そのものの病変などによるもの

・腸の腫瘍や炎症、閉塞などにより、腸の通りが悪くなるために起こる。

・腸の長さや大きさの異常により起こる。


ご質問の便秘の遺伝については、はっきりとはいわれていませんが、ご両親から受け継いだ体質や食習慣などが似ていることも可能性として考えられるでしょう。


食事の注意や運動など、すでに必要なことは取り入れていらっしゃるので、これらのよい習慣はぜひご継続ください。また、下剤や浣腸の常用は避け、蠕動運動が活発になる朝食の摂取とその後にトイレに行くのを習慣化すること(座位は5分以内に)。また、冷えも便秘につながるようなので、寒い時期だけでなく、夏場の冷え予防(保温や入浴など)も有効かもしれません。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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