うつ病で休職中だが趣味には積極的な夫
夫はうつ病と診断され、休職しています。しかし、趣味などの好きなことに関しては積極的に行動し、飲み会にもときたま参加しているようで楽しそうに見えます。
そのような状態が続いていたので、仕事の復帰の目途などを聞いたところ、まだつらくて無理だとのことでした。
生活のこともあるので、仕事にも復帰してもらいたいのですが、夫の病気のことを思うと、どう接すればよいのかわかりません。
女性/30代
2021/12/21
家計をやりくりする妻の立場からすれば、休職している夫を前にして、今後の生活を心配するのは当然のこと。ときには「早く復帰して!」と、お尻を叩きたくなることもあるのではないでしょうか。それをグッと我慢し、ご主人を気遣われている様子に頭が下がります。
あなたが一番困惑されているのは、仕事はできないけれど、趣味には積極的に行動できるという点でしょう。この行動には主に2つの可能性が考えられます。
1つ目は、まだ回復の途中である可能性です。うつ病は、治療をすれば一気に元気になるというわけではありません。休養や薬などの効果が出てきて、まずは気持ちの落ち着きから始まり、徐々に生活や趣味への関心が湧き、それから最終的に社会への復帰となるのが、一般的な回復過程です。
2つ目は、俗に言う「仕事をしたくないからサボっているのでは」という見解に類似するかもしれません。ただ、単なる「サボり」というよりは、仕事内容や職場の人間関係など休職のきっかけとなったつらい出来事に対し、物理的・心理的に距離をとることで心身のバランスを調節している状態といえます。体調は回復しているけれども、復職に対する不安や戸惑いが強く、仕事に対してなかなか一歩が踏み出せないでいると考えられます。
具体的な接し方ですが、1つ目の場合であれば、もう少し様子を見守ることで、仕事を行えるだけの体力や気力が回復し、自ずと復職の道が見えてくるでしょう。
2つ目の場合には、見守るだけでは復職の道がなかなか見えてこないことがあります。「励まさない」「頑張らせない」などの従来から言われている一般的な接し方も、この場合は逆効果になります。
体調を見ながらまずは、ご主人に掃除や洗濯などの家事を積極的に頼み、活動のスイッチを入れてあげるようにしてください。また、仕事については、「いつぐらいに復帰できそう」ではなく、「どんなことがつらいのか」「何が解消されれば復帰できそうなのか」など、具体的なことを聞いてみるのもひとつです。「以前と比べて」という言葉を使うのも、よい質問の仕方のひとつです。
徐々に回復してきていることを一緒に確認しながら、少しずつ仕事と向き合う覚悟や現実感が持てるようなサポートが役立ちます。
実際のところ、上記した2つの可能性の判断は難しく、その見通しを立てるには、主治医に相談してみることが、一番確実で近道です。とくに回復期はさまざまな環境変化を伴うこともあり、主治医との連携は大切です。
ときにはご主人の通院に同行され、復職の目処や現在の病状についてお聞きになってみてはいかがですか。あなたから、ご主人の普段の様子を伝えることは、主治医が適切な診断をするための大切な情報になります。
病気と闘う本人はもちろんのことながら、それを支える家族の苦悩も相当かと思います。ストレスをため込まないことも、寛容な心でご主人に接するための秘訣です。ときには一人カラオケに行き、日頃吐き出せない想いをマイクにぶつけてみるのもいいですよ。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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