認知症が疑われる父が受診を拒む
近所に住む80代の父が、最近、物忘れがひどくなり、同じ物を買ってきたり、道に迷うなど、認知症のような症状が出始め、父と同居している母ともども心配しています。一日も早く、専門医に診ていただきたいのですが昔から頑固な父は「ボケてなんかいない」の一点張りで受診しようとしません。一方で、読書が好きで、俳句の会には参加しています。今後、父を受診させるにはどのようにしたらいいでしょうか。
女性/50代
2021/12/21
「親の老い」に伴う介護などは避けられない問題です。誰もが直面する課題だとわかっていても、今まで元気だった親が衰えていくという現実を受け入れることは、なかなかできないものです。特に厳格だった父親の異変を認めること自体、とても苦しいことですね。しかし、認知症の疑いがある場合は、なるべく早く受診し、適切な治療を受けることが大切です。嫌がることをお父さまに強いるのは、心が痛むことだと思いますが、結果的にはお父さまのためになると前向きにとらえ、受診につなげる方法を考えていきたいと思います。
まず、お父さまの立場になって考えてみましょう。お父さまは、自分の身に起きているさまざまな変化に戸惑い、苦しんでいるかもしれません。と同時に、家族に対しては「弱みを見せたくない」という父親としてのプライドがある反面、「心配をかけたくない」という思いやりもあるのではないでしょうか。また、家族に対しては甘えもあるため、家族の言うことには反抗し、従わないこともあるものです。家族としては困惑するでしょうがむしろ自然なふるまいだといえるのかもしれません。
受診を勧める際には、つい「お父さんはきっと認知症だから病院へ行った方がいい」と言ってしまいそうですが、その言葉は「病気であることを認める」ことがつらいお父さまのプライドを傷つけることになります。このようなときは「病院に行ってくれたらうれしいな、お母さんも安心するんじゃない?」などと間接的な表現で声をかけてみましょう。そうすれば「それほど言うのなら家族を安心させるために病院に行ってやろうか」という気持ちを引き出せるかもしれません。
どうしても家族の言うことを聞いていただけない場合、第三者や専門家の力を借りることも考えてみましょう。お父さまがかぜをひいたときや、定期的に血圧を測りに行くときなど、かかりつけにしている病院はありませんか?お父さまがそちらの主治医に日頃から信頼を寄せているとしたら「信用している主治医の言うことなら」と聞いていただける可能性があります。この場合、あらかじめ家族が主治医と連絡を取り、お父さまに受診を勧めてくれるようお願いしておくという方法もあります。
受診することができたら、その後のお父さまのサポートについて主治医と相談し、介護サービスなど専門家の力を上手に利用していくことをお勧めします。また、読書や俳句などを楽しめていらっしゃるのは、衰えていない能力や健康的な部分が発揮されている証しですから、そうした趣味を続けていくことはとても大切です。今できていることを応援し、お父さまに自信を持ってもらいましょう。一日も早く、適切な治療とサポートが受けられるよう、お祈りしています。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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