気分が安定せず不安感が抜けない

暗い大きな穴にひとり残され、そこから抜け出せずにもがき苦しんでいる。そんな情景がご相談から伝わってきました。どんなに気をつけていても失敗はしてしまうものです。むしろ失敗という穴に落ちてははい上がり、また前に進んでいくのが人生なのかもしれませんね。あなたの場合も、きっかけとなった小さな失敗そのものは誰もが経験するような些細なものだったのでしょう。では、なぜここまで失敗を引きずるまでに至ってしまったのか。それは失敗という穴から抜け出す方法に問題があったのかもしれません。

今いる状況をイメージするために、落とし穴に落ちてしまったところを想像してみてください。その穴は人ひとりがすっぽりと入る位の深さで、がんばれば自分の力で抜け出せそうです。あなたは穴の淵に手をかけ、地上に出ようと全身に渾身の力をこめるでしょう。いつものあなたであれば、そのくらいの穴なら難なく抜け出せるかと思います。ただ、思ったよりも土が軟らかかったり、予期せぬ大雨が降ってきた場合はどうでしょうか。手に力をこめても土は滑り落ち、ぬかるみに足を取られ、下手をすれば穴は最初よりも大きくなってしまうかもしれません。

そのような脱出困難な状況におちいったときに頼りになるのが「誰かの手」です。穴に紐やハシゴを投げ入れてもらえればよいのです。まずは安全に穴から脱出する方法をじっくり考えることから始めてみましょう。

では、あなたの現状をふり返ってみましょう。今のあなたは、穴に入ったまま身動きのとれないなかで次々と仕事は降り注ぎ、否が応でも足元の失敗も目に入り、ますます疲労感とこの先の不安感だけが心に渦巻いている状況です。今の状況から抜け出すために、まずは穴の様子を観察し、脱出するにはどのようなハシゴが必要かを考えてみましょう。例えば、仕事量の調節や進め方についてアドバイスをもらうこともひとつです。何も考えずにしっかり睡眠をとれるよう、体調について医師に相談してみるのもよいでしょう。週末にリラックスして過ごせるよう家族と話し合うことも大切です。

いずれにせよ、上司や、同僚、ご家族、場合によっては医師やカウンセラーなどの専門家に今の状況を自分の言葉で伝えてみることが第一歩です。うまく穴から抜け出すことができれば、おのずと疲れや不安感は和らいでくるでしょう。徐々に、私生活への興味や関心も戻ってくるでしょうし、私生活に少し余裕ができることで、仕事に対してもいつものように冷静にとらえることができるようになってくるでしょう。

今回あなたは、「いつもと違う」という感覚に自身で気づき、こうして相談をしてくださいました。あなたはすでにハシゴの大切さに気づき、行動を起こすことができています。まずはそうできた自分をほめ、これまでがんばってきたことを十分ねぎらってあげてくださいね。