Question

すぐに「うつ病かも」と言う部下

部下にミスを注意しようとすると「最近やる気が起きず、うつ病かもしれない」と言われ、指導に困っています。周囲にも私が厳しくするせいでうつ病になりそうだ、と言いふらしているようです。うちの会社は従業員の健康管理が手厚く、それを都合よく逆手に取っているように感じます。上司としてどのように接するのがよいのでしょうか。

男性/40代

2021/12/21

Answer

部下に注意しようとすると「うつ病かもしれない」とか「うつ病になりそうだ」などと言われたら、上司としてどう接したらよいか困惑してしまいますね。そんな状態では腫れ物に触るかのようにミスを注意することも躊躇してしまい、指導もままならず、やるせない気持ちになっているのではないでしょうか。

しかしながら、上司として部下を育成することも業務の一環かつ役割遂行である以上、責任を果たそうと熱心に部下の指導育成に心を砕いて努めていらっしゃるご様子。多くの同僚や部下からは、厚い信頼を寄せられているのではないでしょうか。その一方で、上司としての在り様がいろいろとむずかしい時代である今、一部の部下の指導にご苦労されていること、ご心労お察しします。


それではまず、上司としての接し方についてお答えする前に、この部下は上司からミスを注意されたときにどんなことを感じていたのか、少し思いを馳せてみることにしましょう。もしかするとこの部下は、“注意された”ということが「行動を修正すればいい、直せばいい」と受け止めず、「自分には能力がないと思われた」など、自分の能力や性格を批判された・責められたと感じ、「自分は好かれていない」「信頼されていない」「認められていない」などのように、自分を否定されたと思ってしまったのかもしれません。そして、注意される度に自信を失くし、上司が厳しいと周りに言いふらすことで、自尊心が傷つかないように自己弁護しているところもあるかもしれません。


人間は行動の原因(この場合、ミスをしたという行動)を“状況”ではなく“性格”のせいだと考えてしまいやすいので、相手の性格や人格を責めたと思われないように、少し伝え方を工夫してみてはいかがでしょうか。すでに実践されているかもしれませんが、例えば「○○が間違っていた」と否定的・断定的に受け取られる可能性がある言い方でなく、「△△のやり方で、もう一度やってもらえないだろうか」などとソフトな言い回しで伝えてみると、相手も感情的にならずに事実を受け入れやすくなるでしょう。

また、部下が自分で考えるような問いかけで、対話を工夫することもお勧めします。例えば、ミスに対して部下が「もう一度やり直そう」と自発的に思うようになるまで、ひたすら口を挟まず、ミスに対する部下の考えや思いを聴く。あるいは、ご自身の感想として「私は〜し直すとよいと思うんだけど‥」などと伝えてみる。ただしそのときに、相手が受け入れやすい表現を使うのがポイントです。「だめ」「~ない」「~しない」という否定形の表現ではなく、「~する」「~しよう」「~するのはどうだろう?」などの肯定形や疑問形にして伝えるよう工夫してみましょう。


次に、部下とのコミュニケーションで知っておくとよい“聴き方”のコツをご紹介します。まず、とにかく部下が話している間は自分の考えは捨てて、「うん、うん」と形ではなく心から部下の目線で部下の立場に立ち、“理解しよう”と聴くよう努めます。そうすることで部下との信頼関係を築くことができ、上司の注意も部下は抵抗なく素直に受け入れる気持ちになれるでしょう。


最後に、部下の言動を絶えず力づけるような褒め言葉をふだんから使い、時々はゆっくり話し合う時間を作りましょう。部下との関係を“直そう”とするのではなく、“わかろう”とする会話をしてみることで、よい関係になっていくと心に留め置き、対応してみてください。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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