原因不明の頭痛……ストレス解消で治る？

３カ月ほど前から頻繁な頭痛で専門医を受診されたとのことですから、たいそう痛みでお困りの様子。生活にもずいぶんと支障をきたしているのではないでしょうか。たしかに頭痛は集中力を妨げ、物事に対する前向きな気持ちも奪ってしまうほどの力を持っています。その影響で仕事のみならず日常生活すべてに意欲的になれず、不安でつらい思いをされていることでしょう。慢性的な頭痛の70％が肩こりを伴い、ひどくなると吐き気やめまいに悩まされる方が多いようです。あらためて、頭痛だけですまない大変さが伝わってきます。

頭痛と一口に言っても色々なタイプがあり、最も多いのは緊張性頭痛と言われています。この頭痛は文字どおり筋肉が緊張しすぎることによって起こるので、緊張した筋肉を緩める対策＝「感情を穏やかに保つこと＋心の疲労を取り除くリラクセーションやストレス対処」が効果的と言われています。このように聞くと、まるでストレスが悪の根源のように感じてしまいますが、適度なストレスはむしろ心を健康にする大切なものでもあります。軽重の程度が問題のストレスですが、とくにストレスをため込みやすいタイプには、周囲の人を気にしすぎて自分の言動を押し殺してしまう傾向や、人の頼みを断れない、他人に配慮しすぎる自己犠牲的な性格傾向がある人と言われています。日常の人付き合いを振り返ったときに、思い当たる節がおありでしょうか？

このように、まずはご自身の性格傾向を振り返り、それがいけないとするのではなく、ありのままの自分を認めて、“ほどほど”を意識してみてはいかがでしょうか。ストレスを感じたときに“遠慮もほどほど…”と自分につぶやいてみたりするところから始めてみませんか。

次にストレス対策を考えていきましょう。まとまった時間やお金を必要とする旅行などという大きな対処法でなく、ささやかな対処法を数多くレパートリーとして持つこと、できれば五感を使ったさまざまなストレス解消法を組み合わせてトライすることがお勧めです。

具体的な例としては、

・視覚…植物などの自然、動物、映画、景色、好きな写真などを観賞する

・聴覚…音楽を聴く、カラオケで歌う、親しい人と電話で話すなど、耳に心地よい音を聞く

・触覚…土いじり、動物を撫でる、マッサージ、プラモデル制作など

・味覚…好物の食べ物、少し贅沢なコーヒーや嗜好品など（ただし、お酒はほどほどに）

・嗅覚…ラベンダーなどの好みの香りのアロマ、森林浴、植物の香りなど

これらの具体例のほかにも、あなたならではのストレス対処法を10でも20でも思いつく限り書き出してみましょう。レストランのメニューを見るようなつもりで、今日はどのストレス対処法にしようかなと、ささやかな楽しみを重ねて疲れを取り、穏やかな心で過ごす時間を作ってみてください。そして心身の緊張がほぐれていくことを実感してください。

最後に、頭痛が日常生活や仕事を休まざるを得ないほどの重症と感じるようであれば一度、心療内科や精神科の受診をお勧めします。ご自身のストレス対策と併せて、筋弛緩作用を持つ薬を飲むことで、感情を安定させるとともに相乗効果が期待できます。