骨肉腫こつにくしゅ
最終編集日:2021/12/21
概要
骨肉腫は、骨にできるがんです。10〜20歳代の若年層に多いがんですが、中高年にも一定の割合で発症します。発症頻度は50万人に1人とごくまれな病気で、日本での発症数は年間250人程度です。多くはひざのあたりの骨に肉腫ができますが、肩に近い上腕骨に発生する場合もあります。初期にははっきりとした自覚症状がなく、レントゲンでは肉腫が発見できないため診断がむずかしい病気です。現在は医療の進歩により、さまざまな治療法で治療が進められています。
原因
骨肉腫の原因はまだ解明されていません。遺伝子の変異によって発症するのではないかなどいくつかの仮説はありますが、まだ研究の段階です。そのため予防法も確立していません。早期発見でできるだけ早く治療につなげることが重要といえるでしょう。
症状
おもな症状は痛みや腫れですが、初期症状が非常にわかりづらいのがこの病気の特徴です。ひざの骨や肩の近くの上腕骨、また足の付け根からひざまでの大腿骨など、骨肉腫が発生しやすい場所の痛みや腫れには注意すべきです。ただこれらの部位の異常は10〜20歳代の成長期や、スポーツで骨や筋肉を使いすぎた場合などにもよくみられるものなので、すぐに骨肉腫と結びつけるのは早計です。痛みや腫れが長引いたり、その部位が熱をもっているような症状がつづいたりする場合は、念のため整形外科を受診するとよいでしょう。
検査・診断
整形外科ではまずX線検査を行います。骨肉腫はX線検査では判明しないことが多いため、痛みや腫れの状態によって疑いがあると判断されると、骨肉腫にくわしい医師のいる医療機関を紹介されます。医療機関ではCT検査やMRI検査などでくわしい検査を行います。これらの画像検査によって骨に病変があり腫瘍性を伴っているかどうかを確認し、腫瘍性がある場合は生検(患部の一部を採取して行う検査)によってそれが骨肉腫であるかどうかを診断します。
治療
骨肉腫は骨のがんなので、ほかのがんと同じように手術療法、抗がん剤による化学療法、放射線療法を組み合わせた治療を行います。
一般的な治療のプロセスは次のとおりです。
●化学療法(抗がん剤)
まずはほかの臓器などへの転移を防ぐため抗がん剤治療を先行させます。抗がん剤は副作用が強く、吐き気、食欲不振、脱毛などを伴います。
●外科療法(手術)
抗がん剤で、ある程度肉腫が小さくなったら、手術で肉腫の発生した骨や周りの筋肉などを取り除きます。骨肉腫の部位によっては骨を腫瘍用人工関節に置き換える再建なども行われます。骨肉腫は手術ができないと根治が見込めません。
●放射線療法
切除が困難な部位に骨肉腫ができている場合は、放射線治療がメインになることもあります。
セルフケア
予防
骨肉腫は初期症状に気づきにくく、骨肉腫にくわしい医師でなければ確かな診断はできません。日常生活のなかで特別な違和感があるときは、それがサインである場合もあるので、見逃さないようにしましょう。
●骨折
いつもと同じようにスポーツをしているときに急に強い痛みを感じて骨折を疑うことがあります。若年層では普通はそう簡単に骨折することはないため、軽いきっかけで骨折をした場合は肉腫などを原因とする病的骨折の可能性があります。非常にまれですが、整形外科のレントゲンでは骨肉腫は発見されないため、不安があれば専門医に相談することをおすすめします。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三
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