腎臓がん

じんぞうがん

最終編集日:2023/5/15

概要

腎臓がんは、腎臓の実質といわれる部分にある尿細管の細胞に発生する悪性腫瘍です。淡明細胞型という組織型が7割以上を占めます。通常は左右どちらか1つに発生しますが、まれに遺伝的要因の強いものでは左右に多発するケースもあります。

年間患者数は約3万人、50~60代の男性に好発し、男性と女性の割合は2〜3対1で男性が多くなっています。腫瘍の大きさが4㎝以下で腎臓内にとどまるなら、5年生存率は90%を超えるとされ、早期発見・早期治療で根治の可能性が高いがんです。また、多くは進行が遅く、増殖は1年に数㎜から5㎜程度と考えられているため、セカンドオピニオンをとる場合はそれが可能なことが多いでしょう。

原因

原因は明らかになっていません。喫煙と肥満はリスク因子と考えられています。男性に多い理由もわかっていません。長期血液透析をしている人に腎臓がんの発生が多いとされており、また、腎臓がんの患者さんのうち約5%は遺伝性因子がかかわるとも考えられています。

症状

血尿、腹部にしこり(腫瘤)を触れる、腰背部痛が3徴候として知られていますが、この3徴がそろうのは数%で、人間ドックや他疾患の検査での超音波(エコー)検査やCT検査で偶然見つかるケースが70%以上に上るといわれています。

尿潜血陽性(無症候性顕微鏡的血尿)が約40%に認められ、血尿精査による画像検査で見つかることも多いです。

腎臓がん
腎臓がん

検査・診断

確定診断には、造影CT、MRIなどの画像検査が用いられます。画像で腫瘍の性状が診断できない場合には、CT画像で確認しながらのCTガイド下経皮的針生検で腫瘍細胞を採取して組織検査を行う場合もあります。

腎盂(じんう)がん、腎血管筋脂肪腫などとの鑑別も重要です。

治療

手術による切除が第一選択となります。腎臓がん治療の目標は、①がんの制御(がんを取り切り再発を防ぐ)、②腎機能温存、③低侵襲(治療による負担を軽くする)の3つで、切除する部分によって2つの手術法があります。


●腎部分切除術(腎機能温存手術)

腎臓のがんが生じている箇所を部分的に切除する術式です。がんの大きさが7㎝以下のものに適応されます。4㎝以下のものがもっともよい適応であるとされています。加えて、がんが切除しやすい形状をしている、腎臓の浅いところにあるなどが適応の目安です。次項の全摘術にくらべて腎機能を温存できるメリットがあります。腎臓がん治療後に慢性腎臓病(CKD)を発症するリスクが高くなるため、できるかぎり腎機能を温存することが望ましいとされています。ただし、がんの制御が十分に行えると判断された場合にのみ選択されます。

腹腔鏡下手術が基本ですが、2016年に保険適用になったロボット支援下手術が主流になりつつあります。このロボット手術は、腹腔鏡よりも正確で精緻な手技が可能で、術中の出血量が少なく、術後の早い回復が望めるなどの利点があります。


●根治的腎摘除術(全摘)

がんができたほうの腎臓全体を切除します。腫瘍の大きさが7㎝以上のものに適応されますが、それより小さくても、がんの悪性度が高い、がんが腎臓の内部にある、周囲の血管を巻き込んでいるなどの場合にも選択されます。腹腔鏡下手術あるいは開腹手術で行われます。


●監視療法(+局所療法)

がんが2㎝以下で、高齢や持病があるなどで手術に耐えられない、あるいはすでに腎臓を1つ摘出しているなどの症例では手術はせず、監視療法を行います。定期的な検査で経過をみながら、凍結療法(からだの外から特殊な針を直接刺し、アルゴンガスで組織を凍らせてがん細胞を死滅させる方法)などの局所療法を行ってがんの進行を抑制します。


●薬物療法

手術でがんを切除することがむずかしい場合や、手術の前に治療効果を高める目的で薬物療法を行うこともあります。腎臓がんの薬物療法では、おもに分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を用います。腎臓がんには、根治的な治療を目的とした抗がん剤治療や放射線治療を行うことはあまりありません。

監修

しみず巴クリニック 腎臓内科

吉田顕子

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