眼性斜頸
がんせいしゃけい

最終編集日:2023/1/20

概要

眼性斜頸とは、目を動かす筋肉の異常が原因で、首をかしげている状態をいいます。生後6カ月以降に多く確認され、何かを注視しているときに傾きが大きくなり、目を閉じていると首が傾いていないことがあります。眼性斜頸では、右目か左目のどちらかの視線が上下にずれた状態となる上下斜視が多くみられ、眼球の上下のずれを首の傾きで修正しようとして斜頸が起こります。

原因

上斜筋麻痺などの眼球を上下に動かす筋の麻痺によって起こります。人は通常左右の2つの目で同時にものを見ています。上下斜視になると、視線が上下にずれて、上下方向に像が2つ重なって見えます。この問題を補正するため、頭部の傾斜が起こり、斜頸の状態になります。

症状

常時首をかしげているわけではなく、首がまっすぐなときもあります。左右どちらかの目をつぶると斜頸がみられない、または軽くなることがあり、何かをじっと見るときに斜頸が大きくなるのが特徴です。

検査・診断

まず骨に異常がないかを確認するためにX線やCTなどの画像検査を行います。画像診断で異常が発見されなければ、斜視検査を行い、屈折異常があるかどうか、目が正しい位置にあるかどうか、目の動きは正常かどうかを調べます。上下斜視の原因となる上斜筋麻痺の検査として、頭部傾斜時の眼位と9方向眼位を組みあわせて、斜視の原因が上斜筋麻痺かどうかを3つのステップで確認するParksの3段階法を行うこともあります。

治療

眼性斜頸の治療は、首の傾きだけを治すとものが上下にずれて見えるので、原因である眼球の動きを治療します。目を動かす筋肉の麻痺を改善するため、両眼視機能訓練や視力増強訓練や、プリズム眼鏡やコンタクトレンズを使用して治療を行います。斜視の偏位が大きい場合は手術が必要となることがあります。手術としては、目を動かす筋肉(外眼筋)の位置をずらして目の位置を改善する斜視手術を十分な検査を行ったうえで行います。

セルフケア

予防

斜頸は、単なる「癖」だと勘違いされ、そのまま放置されている場合が多くみられます。長い間、その「癖」だと思っていた斜頸が、のちに斜視で眼科を受診した際に初めて斜頸の原因が斜視だったと判明することがあります。首の傾斜があり、斜視がみられる場合は「癖」だと自己判断せず、斜視の診療を行っている眼科を受診しましょう。

監修

井上眼科病院 院長

井上賢治

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