毛細血管奇形もうさいけっかんきけい
最終編集日:2022/9/16
概要
生まれつき皮膚にみられる赤いあざで、単純性血管腫あるいはポートワイン血管腫とも呼ばれます。
成長に比例して面積を増しますが、それ以上に拡大することはありません。
通常、自然に消えることはなく、加齢によって赤紫色になったり、隆起したりすることもあります。男性より女性に多く発症します。
正確には血管腫ではなく、血管奇形に分類されます。
原因
毛細血管の奇形が原因で、変色部分は盛り上がりがなく平坦です。皮膚真皮の毛細血管が拡張している状態で、生まれたときからすでに存在しています。
症状
生まれつき存在する赤いあざです。変色部分の表面は盛り上がりがなく平坦で、周囲の皮膚との境目がはっきりしています。赤色の濃さや範囲、大きさはさまざまで、顔面や首の後ろ、四肢に多くみられます。
赤あざは成長に比例して面積が広がりますが、それ以上に拡大することはありません。自然に消えることはなく、加齢によって赤紫色になったり隆起したりする場合もあります。
赤あざ自体は無害ですが、現れた部位によって、ほかの疾患に関連している場合があります。
●目の周りの赤あざ
スタージ・ウェーバー症候群と呼ばれ、緑内障などの眼症状、けいれん発作や知的障害などの脳神経症状を合併する難病です。
●四肢の赤あざ
クリッペル・トレノネー症候群と呼ばれ、四肢のうち一肢またはそれ以上に肥大・過成長、静脈瘤、うっ滞性皮膚炎や皮膚潰瘍などが生じる難病です。
毛細血管奇形に似た赤あざが新生児にはしばしば現れます。
●サーモンパッチ
上眼瞼や眉間、額の真ん中に赤いあざが生じますが、自然に薄くなり、1〜2歳までに大部分は消えていきます。
●ウンナ母斑
首の後ろ(うなじ)に赤あざが現れ、約半数は成人しても残ります。
検査・診断
基本的には、病歴・視診・触診によって診断します。
治療
色素レーザー治療が有効性の高い治療法です。
レーザーが血液内のヘモグロビンを標的とし、レーザーを浴びたヘモグロビンが発する熱で血管を選択的に破壊します。1回の照射で赤あざが消えるわけではなく、3カ月ほど間隔を空けて状態をみながら複数回の照射で治療していきます。
効果の程度は、真皮のどこまで病変が及んでいるかによって異なりますが、約8割の赤あざに対して効果があります。しかし完全に消退する例は多くありません。子どもは成人にくらべて皮膚が薄く、赤あざが真皮の浅い部位に存在するため、治療によく反応します。治療開始が早ければ早いほど治療回数は少なく、治療効果も期待できます。
年齢が高くなり、赤あざが腫瘤をつくって盛り上がったものには、レーザーの効果が低下する場合もあります。症状によっては外科手術で切除することもあります。
眉間など顔面のサーモンパッチは、1~2歳までに自然に消えていく場合が多いため、治療せず経過観察を行います。
ウンナ母斑は首の後ろにでき、髪に隠れて目立たないため、ほとんどの場合、治療は行いません。
セルフケア
病後
レーザーを照射された部位は、シミになるのを防ぐため、こすらず、紫外線を浴びないよう留意しましょう。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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