先天性内反足せんてんせいないはんそく
最終編集日:2023/5/19
概要
先天性内反足は、足部が特徴的に変形する先天性の病気です。患児を抱き上げて正前から観察すると、つま先を伸ばした状態でそのまま90度近く足先を内方に曲げた形であり、そのまま立たせると足の甲で体重を支える形になります。その変形がゴルフのクラブに似ていることから英語ではクラブ・フット(club foot)といわれています。変形した足は硬く、手で簡単に治すことはできません。片側に起こるもの、両足に起こるもののどちらの場合もあります。
発症率は約0.1%で男児に多く、50%に両足の変形がみられ、片足の場合は右足の発生が左足の2倍といわれています。
原因
かかとの骨である距骨(きょこつ)の形成不全、足根骨(足のかかと側の半分にある複数の骨)の配列の異常、軟部組織(筋肉、腱、靱帯、関節包など)の拘縮(こうしゅく・固まって動きにくくなった状態)、下腿(ひざから足首にかけて)後方の筋肉の短縮などから、内反変形が起こります。なぜこのような骨や軟部組織の変形、拘縮が起こるかは、まだ明らかになっていません。
症状
出生時から足の変形がみられます。放置した場合は足の裏・かかとを着けて立てず、足首を甲側に反らせない(尖足〈せんそく〉変形)、足が正面を向かない、歩行時につま先が内側を向くことによって足部外側や足の甲で体重を受ける特徴的な状態を示します。荷重部となる足の甲や足の外側部には胼胝(べんち)が形成されます。
検査・診断
足の状態から診断は容易につけられます。X線検査で変形の様子を精査し、足根骨の配列異常があること、変形のみで麻痺がないことなどから、確定診断されます。
先天性内転足、麻痺性内反足、下腿内反・内捻症などとの鑑別が行われます。
治療
初期治療として、保存治療の標準とされるポンセッティ(Ponseti)法が行われます。手を使って変形を矯正し、その位置を保持するためにギプスで固定します。矯正は段階的に行われます。週に1~2回微調整し、1.5~2カ月かけて矯正します。この段階で十分に矯正できず、背屈制限が残る場合はアキレス腱を切る皮下切腱術を行います。アキレス腱皮下切腱術が必要となるケースは90%に近いという報告もあります。アキレス腱皮下切腱術後は3週間のギプス固定を行います。
手術例も含めてギプス治療後は装具を用いた装具治療になります。最初は1日中装着しますが、半年後くらいから4~5歳まで、睡眠時のみ装着します。
また、初期治療を行っても重度な変形が残った場合や再発した場合などには、軟部組織解離術、腱移行術などの高度な手術が必要になることもあります。
セルフケア
療養中
●受診について
時間の経過とともに整復が困難になることから、遅くとも生後1カ月以内に小児整形外科を受診することがすすめられています。矯正・整復には専門的な知識や技術、経験が必要になるため、専門医や専門の施設を受診しましょう。
監修
東馬込しば整形外科院長
柴伸昌
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