歯列接触癖(TCH)の改善法は?
最終編集日:2023/6/1
6月4〜10日は「歯と口の健康週間」です。この機会に歯と口の健康を見直し、口から全身の健康を守っていきましょう。
●「かみしめ」に注意!
人は何かに集中しているとき、上下の歯を接触させて緊張感を高めます。歯を食いしばるような強いかみしめはもちろんですが、上下の歯が軽く接触している状態にも注意が必要です。本来、口を閉じていても、上下の歯がどこにも触れていないのが正解です。歯が触れるのは、飲食や会話をするときだけで、その合計時間は1日当たり20分程度といわれています。
しかし、日常的に上下の歯を接触させる「癖」を持つ人は非常に多いです。この状態が続くと、口周りの筋肉を常に活動させ続けることで疲労し、さまざまな不調を引き起こすことがわかっています。知覚過敏や口内炎、歯周病、顎(がく)関節症などの疾患のほか、詰め物が取れやすい、歯が欠けやすい、かみ合わせの違和感、頭痛や首・肩こりとさまざまな場所に悪い影響を及ぼします。
このような、上下の歯を接触させる「癖」を歯列接触癖(TCH)と呼びます。精神的なストレスはTCHの原因となりやすく、環境の変化をきっかけにTCHが始まる人も少なくありません。
●大切な歯を長持ちさせるために癖を改善させるには?
TCHは「癖」のため、簡単に改善できるものではありません。「上下の歯が接触しているほうが自然だ」と脳が認識してしまっているので、これを正さなくてはいけません。次のような「行動変容法」を取り入れて、トレーニングをしていきましょう。
・その1「TCHを実感する」
軽く上下の歯を数秒間接触させた後、離す。頬や首などに手を添え、頬の筋肉から力が抜ける様子など、接触による変化を認識する。
・その2「反射トレーニング」
付せんや紙などを10枚以上用意し「脱力」「TCH」「歯」「離している?」といった言葉や歯のイラストなどを書く。これをスマートフォン、パソコン、テレビ、冷蔵庫、トイレなど、頻繁に目にするところやよく使うものに貼る。日常生活でそれが目に入ったら瞬時に1回脱力する。
〈脱力の方法〉
①鼻から大きく息を吸い込みながら、肩を思いっきり上に上げる
②口を少し開けたら、一気に息を吐き出し、同時に肩をストンと落とす。息を吐き出しながら「あー」「はー」など「あ段」の言葉を発してもよい
これらのトレーニングを2カ月ほど続けると、歯が触れた瞬間に気づけるようになります。接触に気づければ、脱力行動をとることができ、歯が離れているほうが楽に感じられてきます。次第に離れている状態に慣れ、自然と正しくキープできるようになるでしょう。
監修
木野顎関節研究所 所長
木野孔司
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