腸活がメンタルに影響?「脳腸相関」とは

最終編集日:2025/12/22

脳と腸は密接に関係し、互いに影響し合っています。この関係は「脳から腸への影響」と「腸から脳への影響」の二方向がありますが、近年、後者が注目されています。腸内環境の乱れとメンタルの不調には関連性が示唆されており、腸の健康を保つことが心の安定に寄与する可能性があります。


●脳と腸は互いに影響を及ぼし合う?!

脳や脊髄に次いで多くの神経細胞が存在する腸は、脳からの指令がなくても、自ら蠕動運動(ぜんどううんどう)を行います。このため腸は「第二の脳」とも呼ばれています。

さらに脳と腸は多くの神経線維でつながっていて、互いに情報を伝達し合い、影響を及ぼし合っています。これを「脳腸相関」と呼びます。例えば、重大な会議や発表などの前に緊張するとおなかが痛くなったり、下痢をしたり、あるいは旅行中に便秘になったりするのは、精神的なストレスが腸の働きに影響を与えるからです。

一方で、腸内環境の変化が脳に影響する可能性についても研究されています。腸の状態が悪くなると気分の落ち込みや不安が強まる傾向が報告され、逆に腸内環境が良好だと気分が安定しやすいという関連性が示唆されています。ただし、因果関係はまだ明確ではありません。


●幸せホルモン「セロトニン」と腸内細菌の関係

人の腸内には、約1000種類、100兆個もの細菌が存在し、消化や免疫機能に加え、神経伝達物質の産出にも関与しています。なかでも「セロトニン」という神経伝達物質と腸内細菌の関係が注目されています。

「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンは感情や自律神経の安定に関わりますが、その約90%は腸でつくられます。ただし、腸でつくられたセロトニンは脳に直接届くものではありません。脳内のセロトニン合成には、腸内細菌が食物からつくる代謝物であるトリプトファンが関与します。

うつ病患者に腸の不調を訴える人が多いことや、腸内細菌と神経伝達物質の関連が報告されていることから、腸とメンタルの関係は研究が進められていますが、現時点では「関連がある可能性が高い」という段階です。


●腸内環境を整えるためのポイントとは 

便秘や下痢などがなく、腸の調子がよければ、メンタルにもよい影響を与える可能性があります。そのために、多様な腸内細菌がバランスよく腸内に存在するように腸内環境を整えることが大切です。

まず大事なのは、食事です。栄養バランスの整った食事を基本に、善玉菌を増やす発酵食品(ヨーグルト、納豆など)、オリゴ糖を多く含む食品(バナナ、ごぼうなど)を摂取したり、腸内細菌のエサとなる食物繊維の多い食品(野菜、果物、豆類、きのこなど)を摂取することを心がけましょう。

ストレスは腸に負担をかけやすいので、ストレスを感じるようならリラックスする時間を確保しましょう。深呼吸をしたり、笑ったり、趣味の時間をもつこともストレス緩和に役立ちます。

また、適度な運動は、腸の蠕動運動を促すのに有効で、便秘対策・予防にもつながります。

不規則な生活や睡眠不足が続くと自律神経が乱れ、腸のリズムが乱れる原因にもなります。規則正しい生活をおくり、睡眠を十分にとるように心がけましょう。



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監修

松生クリニック 院長

松生 恒夫