「ブレスト・アウェアネス」で乳房の変化に気づく

最終編集日:2025/10/13

日本人女性の9人に1人が「乳がん」を発症するといわれています。

乳がんは20代以降すべての世代で発症し、30代後半で増加、40代から50代にかけてピークを迎えます。


乳がんは「早期発見」がとても重要な病気です。

そのために取り入れてほしいのが「ブレスト・アウェアネス(Breast Awareness)」。

かつては「自己触診」というセルフチェックがすすめられていましたが、「がんを探そう」と構えると気が重くなり、続けにくい面がありました。

ブレスト・アウェアネスとは、「乳房を意識する生活習慣」です。日ごろから自身の乳房を意識することで、ちょっとした変化に気づきやすくなることを目的としています。


●ブレスト・アウェアネスの4つのポイント

1. 自分の乳房の状態を知る

入浴や着替えのときに乳房を見たり触ったりして、普段の状態を知っておきましょう。変化や異変にもっとも早く気づけるのは自分自身です。


2. 乳房の変化に気をつける

「病気を見つけよう」と気負う必要はありません。「いつもと違うところはないかな?」と気軽に確認することが大切です。


3. 変化に気づいたら医療機関へ

しこり、皮膚のへこみ、分泌物などがあれば、次の検診を待たずに受診を。安易に自己判断せず、専門家に相談しましょう。


4. 40歳になったら2年に1回の乳がん検診を

症状がなくても、2年に1回、定期検診を受けましょう。精密検査をすすめられた場合は放置せず、早めに受けることが大切です。



●ブレスト・アウェアネスを身につけよう

入浴時や着替えなどのちょっとしたタイミングに、乳房をチェックしてみましょう。


<注意したい変化>

・皮膚のひきつれ、へこみ

・皮膚のただれ、赤み

・しこり

・痛み

・乳頭からの分泌物


月経周期によって、乳房が張ったりやわらかくなったりと状態が変化します。そのリズムも含めて「自分のいつもの状態」を知っておくことがポイントです。



●高濃度乳房の人にもおすすめ

日本人女性の約40%は乳腺組織が多い「高濃度乳房」といわれています。

これは体質であり病気ではありませんが、マンモグラフィでは乳腺が白く写るため、がんなどの異常が隠れて見えにくいことがあります。

ブレスト・アウェアネスを日常的に取り入れることで、小さな異変にも早く気がつくようになり、早めに医療機関を受診するきっかけにもなります。



乳がんは誰にでも起こりうる病気です。

だからこそ、ブレスト・アウェアネスは「がんを探す」特別な行動ではなく、自分の乳房を自然に意識するための生活習慣として続けることが大切です。

気軽に、日々の生活の中に取り入れてみましょう。


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監修

公益財団法人がん研究会 がん研究有明病院 乳腺外科 医長

片岡 明美