ペットの犬や猫から感染する「パスツレラ症」って?
最終編集日:2023/4/20
パスツレラ症とは動物や人が共通してかかる「共通感染症」の1つです。あまり知られていない感染症ですが、ペットを通じて人に感染すると、最悪の場合、死に至るケースもあります。これからペットを家族に迎える人や、すでにペットと暮らしている人も、この感染症についての知識を深めてしっかりと予防しましょう。
●どうやって感染するの?
パスツレラ症はパスツレラ菌によって起こる感染症です。私たちに身近な猫では100%、犬やうさぎ、鳥も高い確率でパスツレラ菌をもっていますが、ほとんど症状を起こすことはありません。
しかし、これらの動物にかまれたり、引っかかれたりすることで人が感染すると、数時間で赤く腫れ上がり、痛みや発熱が起こります。かまれた場所がリンパ節に近いと関節炎、骨に達するようであれば骨髄炎を引き起こすこともあります。免疫機能が低下している人が感染すると重症化する危険があり、敗血症や骨髄炎から死亡するケースもあります。
また、動物からの飛沫(ひまつ)や、同じ食器を使って食事をすることなどで、人に感染する可能性も考えられます。口から感染すると、気管支炎や肺炎などを引き起こすことがあります。
●パスツレラ症を疑うときは?
もし、動物にかまれたり引っかかれたときは、すぐに医療機関(皮膚科や内科)を受診しましょう。早ければ数時間で受傷部位が赤く腫れて痛みや発熱を伴うので、夜間の場合は救急外来を受診してください。適切な傷の処置と早期の抗菌薬の投与で、重症化を防ぐことができます。受診の際は「いつごろに」「何にかまれた(引っかかれた)」かを、正確に医師に伝えることが大切です。
●予防のためには?
犬や猫から、かみ傷や引っかき傷を受けないようにするのが第一です。動物の爪はこまめに切るようにし、いたずらに興奮させるような遊びは控えましょう。ペットとのキスや、エサを口移しで与えるような過剰なスキンシップを避け、触ったあとは必ず手を洗います。
特に、からだの抵抗力が落ちている人はパスツレラ症を発症する可能性が高いため、注意が必要です。子どもや高齢者はもちろん、糖尿病や肝障害、免疫不全などの基礎疾患を持つ人、ステロイドを服用している人も要注意です。このような人たちは重症化リスクが高いため、動物にかまれたり引っかかれたときは必ず医療機関を受診するようにしてください。
監修
国立国際医療研究センター病院 救急科
佐々木 亮
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