Question

職場での女同士の付き合いに疲れる

私の職場は女性社員の割合が多く、管理職の登用や育児休暇をはじめとした制度など、女性が働きやすい環境もそろっています。しかし一方で、女性特有の社会の中での働きにくさもあり、グループに分かれて陰口を言ったり、いじめのようなやり取りを目にすることもあります。私自身はそういうことからなるべく距離を置きたいのですが、そうすると社内でも浮いてしまいそうで怖くてできません。上司に相談しようとも思いましたが、女性のネットワークは強固なので、どこかから漏れてしまうのではないかと懸念しています。周りの人たちに合わせている自分がひどくいやな人間に思えてしまい、心身ともに疲れています。

女性/20代

2021/12/21

Answer

女性が活躍できる環境にあることは、あなたにとっても大変魅力的な職場ですね。一方で、女性同士の人間関係に頭を悩ますことは、よくあるご相談のひとつです。女性同士特有の人間関係の緊密さやネットワークは、男性同士や異性同士の人間関係とは随分異なっています。うまくいけば、とても心強いサポート資源となり、心身ともに助けられることが多い半面、むずかしさや複雑さゆえに手ひどく傷つく原因ともなりえます。


だいたい女性は、小学校高学年あたりからグループを作りはじめます。気が合ったり、同じ感性、価値観を持ったもの同士で固まることが多いでしょうか。「ほかの人が自分と同じ考えを持っている」と確認できることは、安心感につながるからだと思います。その半面、孤立してしまうことは、とても不安感や心細さをかきたてます。


女性の「つながる」力は、うまくいけば会社にとってもプラスに働く可能性を秘めています。ある課題に対応するためにお互い助け合ったり、知恵を出し合ったり、フォローし合ったりすることで、個々に対処するよりはるかに大きな成果を作り出せることもあります。育児や女性特有の心身のバランスについての悩みなども共有しやすくなるので、精神的にも安定して、それが仕事への集中を高める大きな助けにもなり得ます。


しかし一方で、陰口を言ったり、集団で一人をいじめるような形にもなりやすいのです。それはどうしてでしょうか。いちばん大きい理由は前述したように、同じ感性や価値観と異なる人を前にすると人は不安になりやすく、それを排除したい心理が働くからだと考えられます。そして、陰口を言う側の人たちには、「自分たちが悪いことをしている」という意識が希薄なことが多いです。「あの人は、いろいろ言われてもしかたがない人だから」と自分たちの正当性を信じて疑わないのです。その証拠に、これを読んでいるほとんどの方たちは、「私はそんなひどいことはしていない。陰湿な人が世の中には多くて大変だ」と思っていることでしょう。


でも、ちょっと胸に手を当てて考えてみてください。「これまでただの一度も他人の悪口を言ったことがありません」と断言できますか。「断言できる」と胸を張って言える方は、実際のところほとんどいないのではないでしょうか。大多数の人は、多かれ少なかれ悪口を言ったり、誰かをうっとうしいな、一緒に仕事をしたくないな、と感じたことがあると思います。


あなたは陰口やいじめを好ましくないと思いながら、自分も加担している、ということに気づいています。集団の陰湿さを正せないで巻き込まれたままでいる、ご自分の醜い部分、卑怯な部分に気づきながら、それをどうすることもできないことに疲れているのです。しかし、いちばん重要なことは、むしろ「気づいている」ということなのです。それがあるとないとでは、大違いだと思います。気づいていれば、無自覚に人を傷つける行動はしにくくなります。「この人とは馬が合わない」という感覚はありつつも、節度ある距離をとることで、むやみに人を傷つけることをしなくなるからです。


だからと言って、今いる周りの人たちを変えようとか、合わせることを一切やめようとすると軋轢(あつれき)を生みやすくなるので、それも現実的ではないでしょう。ただ、今感じている違和感から目を背けないで、その感覚を持ち続けてください。そして、なるべく悪口やいじめの場面から距離をとるよう工夫してみる、逆に人にやさしくできそうな場面では少し勇気を出してやってみる、自分の違和感を共有してもらえそうな人を探してみる等、そんな小さなところから、ご自身や周りを変えていけたらいいのではないかと思います。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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