Question

自分の“老い”と向き合うことができない

ここ2、3年、自分の老いを実感するようになりました。健診で異常がみつかったり、病気にかかりやすくなったりと体力的な面はもちろん、物事に興味がわかなくなったり、前向きな気分になれなかったりと、精神的にも老いを感じることが増えています。美容面でもしわやしみ、白髪が増えてしまい、鏡を見るたびに昔の自分を思い出してせつない気持ちになります。職場は若い世代が多いので、こうした気持ちに余計、拍車をかけているようにも思います。前向きに老いと向き合い、今後の人生を豊かにしていくためには、どのような心持ちで生活していけばよいのでしょうか。

女性/40代

2021/12/21

Answer

ある年代になると、“以前とはちょっと違う自分”、“以前のようにはできない自分”に気づくようになり、そうすると、どうしても寂しい気持ちになったり、先行きに不安を感じたりしますよね。周りに若い人たちが多ければ、なおさらそうでしょう。ご相談者様のせつなさがよく伝わってきます。


「老いは誰にでも訪れる自然なもの」とよく言われますが、同時に「老いを感じて悩む」のも、じつはそれと同様、誰にでも訪れる自然なことです。老いを感じた誰もがほぼ例外なく、若いままでいたくても若いままではいられない、という葛藤を抱えてせつなくなったり、少し落ち込んだりと心が乱れます。どうやら心の揺れは、すべての老いに必ずついてくるもののようです。そうであれば、まずは「悩むのはしかたないんだ」「せつなく感じて当然なんだ」と捉えてみてはいかがでしょうか。それだけでも少し気持ちが落ち着くかもしれません。


さて、老いの悩みを少し受け容れられるようになってきたら、もう一歩進めて、「今後の人生を豊かにしていくための心持ち」について考えてみるとよいでしょう。高齢者の方、あるいは中年の方でも早期リタイア等を考えていらっしゃるような方であれば、「後半生はただゆったりと過ごす」というのも一案です。でも「前向きに」とおっしゃるあなたの場合、「ゆったり」とは少し違う、心にハリをもった積極的な生き方が、今後の選択肢のひとつになるかと思います。


そこでまずおすすめしたいのが、「老い」という言葉を「成熟」とか「人生後半」といったポジティブ、あるいはニュートラルな言葉に置き換えてみることです。若い時分の右肩上がりの成長ばかりが成長ではないはずで、「人生後半」にもまだまだ成長があるし、まだまだ得るものがあります。例えば、江戸時代の測量家伊能忠敬は、50歳をすぎてから天文学を学び始め、70歳をすぎてから測量の旅を始めました。それから十数年にわたって旅を続け、正確な日本地図を作り上げています。また、こうした歴史上の偉人でなくても、人生後半を着実に歩み続ける人は現代でも身近な人々の中にも、探してみればきっといるはずです。もし見つけたら、前向きに人生後半に向き合うためのモデルにしてみてはいかがでしょうか。


人生後半はマラソンにたとえれば、折り返し点をすぎてからの後半戦です。ランナーがペース配分やモチベーションの維持を工夫するように、人生のランナーである私たちも、後半戦はちょっとした工夫があると楽に走れるものです。前述の使う言葉を変えてみることもひとつの工夫ですよね。今後前向きに「人生後半」に向き合うために、よかったら試してみてください。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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