定年後の趣味がない、生きがいが欲しい

これまで、仕事一筋に打ち込んできたあなたにとって、退職後の生活を想像することは、大変な不安を伴うものでしょう。仕事という「生きがい」とも感じていたほどの対象から離れる体験は、大きな喪失感をもたらすものだと思います。そのような危機感から、仕事に代わる対象を求めておられるのかもしれませんね。しかしながら、定年までまだ数年あるとのことですし、定年してからでも、そのようなものを見つけていける時間やチャンスは十分にあると思います。まずは日々の仕事や生活を引き続き大切にしながら、休日の過ごし方などを少しずつ変えてみるというのはいかがでしょうか。

仕事に代わる「生きがい」というように、大きく考えるとむずかしくなってしまいます。まずは、「楽しそう」とか「やってみたい」と感じることを見つけてみてはいかがでしょうか。ほかの人に聞いたり、雑誌を手にとったりするなどして、情報を得るだけでもよいので、できることから行動を起こしてみてください。たまには、ふだん行かない場所に行ったり、これまでしたことのないことにチャレンジしてみるのもよいと思います。不安を解消させるためには、実際に動くことも必要です。その際には何かを見つけようと焦ったりせずに、趣味を探す過程も楽しみながら気楽に試してみよう、と意識することを心がけるようにしてくださいね。

あなたは定年後、どのような生活を送りたいですか。5年後、10年後、どのような自分でありたいですか。そのように、将来についての具体的なイメージを持つことも不安の解消に役立つと思います。できるかできないかは深く考えずに、素直な気持ちで「なりたい自分」を思い描いてみてください。そして、実際に紙などに書き出してみましょう。ご自分の健康面、生活面、ご家族のことなど、自分に関わる大切な事柄について、それぞれ思いつく限り書き出してみましょう。書いているうちに、「こんな風になりたい！」という気持ちが、より強く湧いてきませんか。「なりたい自分」を思い描くことは、新しい自分に出会うための第一歩と言えるかもしれません。

行動を起こせば、必ずその結果が返ってきます。また、目標を持つことで、行動の方向性や行動することの意味を見失わずにいられるでしょう。そのように、試行錯誤を続ける中で、少しずつあなたが居心地がよいと感じる時間や空間を見つけてゆけばよいのです。繰り返しますが、すぐに答えが見つからないなどと焦らずに、楽しみながらしばらく続けてみることがコツです。仕事をリタイアされた方のなかには、「健康でありたい」という気持ちから、軽く体を動かせる活動をしたり、「人の役に立つ」ことにやりがいを感じ、ボランティアセンターや人材センターに登録し、積極的に地域の方と関わったりする方もいます。「楽しい」ということ以外にも、あなたの興味の対象を広げるためのキーワードをぜひ探してみてください。