腹痛をうったえ登校したがらない息子
小学校6年生の息子。ここ最近元気がなく、なかなか朝起きられなくなりました。食欲もない様子で、ご飯をよく残します。また、軽い腹痛や頭痛などをうったえ、たびたび学校を休みたがります。以前と違った様子で心配なのですが、親としてまずどういった対応をすればよいのでしょうか。
女性/40代
2021/12/21
子どもが学校に行きたがらないと、親としてはとても心配になりますね。つい、「行きなさい」と叱ったり、「がんばって」「このままだとダメだ」と励ましたり、脅したりと、なんとか学校へ行くようにうながしたくなると思います。あるいは、「今までの育て方が悪かったのかもしれない」「自分が親として失格なのではないか」と落ち込んだり、自分を責めたりする心境になるかもしれません。それは親として、ごく自然な気持ちです。子どもが楽しく順調に学校生活を送ってほしいと願うことは、親として当たり前のことだからです。
しかし、その気持ちをそのまま子どもにぶつけることは、事態をさらに悪化させてしまいかねません。学校に行けなくてハッピーな気持ちの子どもはいないでしょう。行けなくて、うしろめたさや歯がゆさ、説明のできないモヤモヤした気持ちを抱え、いちばんつらい思いをしているのは、お子さんなのです。親御さんもつらいとは思いますが、その気持ちをぶつけられたら、お子さんはますますどうしていいかわからなくなってしまいます。
一見、無気力に見えたり、何も感じていないように見えたり、ぐずぐずと弱気になっていたりすることもあるでしょう。あるいは「うるさい!」と反発してくるかもしれません。そんな姿を見て、「甘えだ」「ふがいない」「生意気だ」と、親のほうがイライラする気持ちになるかもしれません。しかし、学校に行けない状態のお子さんの気持ちを、冷静に想像してみてください。ほかの子が行けるのに自分は行けない、なんだかわからないけどお腹や頭が痛くなる、ごはんがおいしくない状態、劣等感や自信喪失した気持ち、先行きがわからない不安感など、いろいろな気持ちがないまぜになって混乱しているのではないでしょうか。
ですので、まず親御さんがしなくてはいけない対応とは、お子さんをどうこうしようとはたらきかける前に、ご自身の気持ちを落ち着かせるということです。とはいっても、完璧に落ち着くというのは無理なことです。まずはご自身の不安を自覚すること、そしてお子さんにご自身の不安感やいら立ちをぶつけず、感情のままにお子さんに接しない程度の冷静さを保つことを心がけられれば、それで十分です。
次にしなければいけないことは、お子さんの体調を注意深く観察することです。「メンタルの問題だ」と思い込んでいて、実は体の不調が原因だったということを見過ごしてしまうのは避けなければなりません。お子さんは、1日を通して具合が悪いのでしょうか。あるいは、朝は体調不良でも、それ以外の時間帯は症状が軽くなっていたり、なくなっていたりする状況でしょうか。もし、1日を通して、あるいは時間に関係なく症状が続くようであれば、まずは小児科で診てもらったほうがよいでしょう。気をつけなければならない点は、「朝は腹痛や頭痛を訴えているが、昼間にはけろりとしている。これは学校へ行きたくないために仮病を使っているんだ」という理解はしないようにすることです。たいていの場合、お子さんは本当に腹痛や頭痛で苦しいのです。ストレスがかかっているために、体が悲鳴を上げているのだということを、わかってあげてください。
なんらかのストレスが原因で、学校へ行けないのだろうと見当がついた後にしなければならないことは、親御さんの相談相手を見つけることです。ここでのポイントは、お子さんの相談相手ではない、ということです。もしかしたら、後になってお子さんにも相談相手がいたほうがよいということになるかもしれませんが、最初に相談すべきは親御さんです。そして、最初の相談相手としては、学校の先生を選ぶのが自然な流れだと思います。担任の先生とまずは時間をとって、現状を伝え、学校では最近どんな様子だったのかなど聞いてみるとよいと思います。担任の先生だけではなく、学校にはスクールカウンセラー、学年主任、養護教員など、さまざまな先生がいらっしゃいます。必要に応じて連絡をとり、情報共有しながら、お子さんのためにどんなサポートが有効か話し合ってみましょう。場合によっては、地域の教育センターや、児童専門のカウンセラーなどへ相談することも考えましょう。親御さんだけでなく、お子さんの周囲のさまざまなサポート資源を活用し、色々な角度から、お子さんに必要な手立てを考えていけるようにすることが大切です。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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