子どもの世話を焼きすぎてしまう
小学生の子どもをもつ母親です。私はなにかと先回りをして子どもの世話を焼いてしまいます。次に必要なもの、やるべきこと、やる順番など、口をはさんでしまうことが多く、自分でもうるさいのではないかと思ってはいるのですが、つい口が出てしまいます。成長の機会を奪っているのではないかと心配ですが、子どもを前にするとやめられません。「口を出しすぎ」は子どものためにもよくないですよね。どうにか治したいです。
女性/40代
2021/12/21
母親ですから、よかれと思って、つい先回りして子どもの世話をしてしまうのは、ある程度は仕方がないことなのかもしれません。子どもの安全やしつけのことを思ったり、忙しい日々の中で、ゆっくりな子どもの行動を待つことができなかったりと、つい先回りして世話を焼いてしまうものですよね。親だからこそ、子どもを大切に思うからこそ、世話を焼いてしまうという面もあることでしょう。
しかし、一方で、成長の機会を奪っているのではないか、と心配もされているのですよね。そう思われているなら、その思いは非常に貴重なものだと思います。せっかくそこまで気づいているなら、と思うところですが、実際止められないわけですよね。では、どうすれば世話焼きを止められるかについて、お手伝いできたらと思います。
まず、なぜ世話の焼きすぎがよくないかについて、念のためもう一度整理してみましょう。子どもは本来、ほとんどどんな子どもでも、自分でやるのが楽しい、あるいは、もっとうまくできるようになりたいというキラキラしたやる気をもっています。しかし、親の目からみると、子どものやり方は効率が悪かったり、稚拙だったり、あるいは少し危なっかしく見えるものです。そこで「ダメよ!」とか、「何ぐずぐずしてるの!」「貸してごらん、こうやるのよ!」などと、ダメ出しをしたり、先回りして親自らやってしまったりするわけです。
私たち相談を受ける立場の者は、こうした子ども時代を過ごした方たちにも数多くお会いしてきています。ご存じでしょうか。こういう方たちは決まって「自分で物事を決めることができない」「そもそも自分が何が好きかがわからない」と訴えます。こうした方たちが抱える困惑や困難の中心に、たいてい「自分がない」という空虚感があります。そして、必ず「子どものころから親が何でも決めてきた」「いつも親にダメ出しをされてきて、自分に自信がない」と仰ります。そういったことが元で、さまざまな人間関係でつまづくことになったり、ほかの人から見たら大したことはないと思えるような挫折体験で、こころが折れてしまったり、生きづらさを抱えて生活に支障が出てしまったりする場合もあります。
子どもの頃に、失敗したり、試行錯誤したりしながら、自分で考え乗り越えていく経験をした子どもは、「困難があっても何とかなる」という感覚が身についていますので、嫌なことがあったり困難にぶつかったりしても、結果がどうであれ何とかやっていけるものです。親は、いつまでも子どもと一緒にいてあげられるわけではありません。大人になってから、子どものうちに親から教えてもらったことが役に立つことも当然たくさんあると思いますが、子ども時代にしかできない失敗、試行錯誤、自分なりの工夫、自分で考えて好きにやってみられることなどもたくさんあり、それらも成長の糧となる貴重な経験です。自分で考える力は、成長するにつれてさまざまな困難から自分を守ってくれる力でもあります。
子育ては大変なことばかりですし、あなたの気持ちが休まる時間もなかなか取れない状況かもしれませんが、今目の前で起こっていることだけでなく、お子さんが成長した後のことにも思いをめぐらせながら、少しずつお子さんに任せられる頻度を増やしていけるといいですね。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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