あるときから無気力感に襲われる
現在の会社に勤めて10年近くがたちます。働きだしたときは、がむしゃらに仕事をしており、帰りが遅くなることが続いても、ストレスが重くかかる仕事でもがんばってきました。そんななか、ある時きっかけらしいきっかけもなく、本当にふとした瞬間「どうしてこんなことを続けなければならないのか」といった疑問が頭を占めるようになりました。その日以降、何に対しても前向きになれず、無気力感にさいなまれています。いったいどうなってしまうのか不安です。どうすればよいのでしょうか。
男性/30代
2021/12/21
10年近く勤務され、がんばってこられた様子がご相談から伝わってまいりました。一生懸命やってきた仕事にふと疑問がわいて以来、以前の自分と違う、仕事に夢中になれない自分に戸惑い、動揺しておられるのですね。今まで「がんばること」「がむしゃらにやること」が当たり前のことだったのであれば、仕事に没頭できない今の自分に対する不安な気持ちは、当然のことと思います。
「きっかけらしいきっかけもなく」ということですので、自分の気持ちが変化してしまった原因に思い当たることがないのですね。しかし、今までと明らかに違う気持ちの変化が起こっているのですから、何か原因があるはずです。一緒に探っていきましょう。
まず、現在の自身の状況についてふり返ってみましょう。仕事は相変わらず忙しいのでしょうか?残業は月に何時間していますか?帰宅時間と出勤時間は、何時ですか?休日は、週1~2日は取れていますか?休日出勤をしたり、仕事を持ち帰ったりしていませんか?食事はきちんと取れていますか?夜は眠れていますか?寝つきはよいですか?夜中や早朝に目が覚めて、そのまま眠れないといったことはありますか?休日は、仕事から離れて、趣味や家族との時間を楽しめていますか?
このような質問をするのは、あなたの状況が、過重労働に当てはまっていないか、心配だからです。過重労働の状況が長く続けば続くほど、疲労は重なっていきます。また、労働時間は長時間ではないにしても、長い期間、仕事による緊張やストレスが慢性的に続いている場合も、心身の状態のバランスを次第に崩していく要因になります。
「燃え尽き症候群(バーンアウト)」という言葉を、聞いたことはありますか?長い期間にわたり疲労が徐々に蓄積する一方で、体力は加齢により下がってきます。20代の頃に比べれば、30代、40代と年齢を重ねるにつれて、無理はできなくなっていきます。しかし、仕事に集中や没頭をするあまり、自分がどれだけ疲れているか、どれだけ無理を続けているのかを自覚できないままに若い時と同じようなやり方を続けていると、体力の限界を超えたあたりで、ぷっつり糸が切れたように「からだが動かない」「気力がわかない」という状態に陥ってしまいます。これが、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」です。医師がつける診断名としては、「反応性(心因性)うつ」に当てはまります。
もし、これに該当しそうであれば、心療内科や精神科、メンタルクリニックへ受診し、継続的な治療を受けることが必要となります。ただ、薬を飲んだからすぐによくなる、というものではありません。ある程度、腰をすえて休養をとるつもりで、しっかり心身を休ませることが大切です。今の勤務状況ではそれがむずかしい場合は、主治医はもちろんのこと、職場の上司や人事・総務、産業医などに相談して、業務の調整や、場合によっては休職することも、検討しなければなりません。
睡眠や食欲などに問題がなく、休みの時は好きなことができているという場合は、病気ではなく、現状のまま仕事を続けたほうがいいのか、他に何かやりたいことや、やり残してきたことがあるのかについて、じっくり考える節目にきているのかもしれません。その場合は、カウンセリングなどを活用しながら、自分はこのままでいいのか、これからの人生をどう生きたいのかなどを、考える時間を持つこともひとつの方法です。
いずれにしても、「前向きになれない」ことは苦しいことではありますが、それは、「今のままではいけない」「何かを変えないといけない」という、自分からの大事なサインでもあるのです。自分の内なる声にしっかりと耳を傾け、少し立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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