一人暮らし70代の母をどう励ますべきか
隣県に一人で暮らしている70代の母が、最近よく電話してくるようになりました。3人兄妹なのですが、長男だから頼みにされているのか、おもに私にかけてくるようです。ささいなことで弱音を吐くのですが、いままでは元気だっただけに、どう接していいのかわかりません。
男性/40代
2021/12/21
今までは、元気でしっかりされていた、ということであれば、そのギャップに戸惑いを覚えるのも無理はないと思います。
一般的に年をとるにつれて、退職など社会的立場からの引退、子どもの独立、体力や知的能力の衰え、身体の病気、友人や家族など身近な人の死など、困難に直面することが増えてきます。いずれも「大切なもの、かけがえのないもの」からの別離であり、「喪失体験」と呼ばれるものです。そして、その先には「死」が待っています。
昔は、大家族で暮らしており、自分の親世代を「介護し、見送る」過程の中で、自然と「老いていくこと」の心構えができました。また、現代ほど医療が発達しておらず、現役を退いた後の人生は、そんなに長い時間はありませんでした。それに比べて、今はどうでしょう。核家族で、老夫婦二人世帯か一人暮らしの割合が増え、体調が悪くても、治療を受けながら生活することが可能となりました。よい面ももちろんあると思いますが、孤独な環境で、心細さや不安を抱えながら、老後の生活を送っている人は増えていると思われます。
あなたのお母様も、まさにそのような状況なのかもしれません。若い時に、家族と暮らしている際には、想像もつかなかったような不安や心細さを感じて、長男であるあなたに頼りたい気持ちが強くなったのかもしれません。大切なお母様のそのような様子を見るにつけ、何とかしてあげたい気持ちと同時に、どうにもできない戸惑いや罪悪感を感じてしまいますよね。
しかし実際には、いくら子どもでもお母様の不安や心細さを完全に拭い去ることは不可能です。老いることのつらさや痛みを想像はできても、実際には体験していないので、すべてわかってあげることもできませんし、わかったところで、どうにもできないことも多いのです。
まずは、「してあげられることに限界がある」とご自身の気持ちを整理しましょう。お母様の話を否定せずに、きちんと聞いてあげることだけでも十分なのです。そのうえで、今より少しでもお母様のつらさが楽になる方法がないか、探してみましょう。例えば、うつ状態になり、不眠や食欲不振などに陥っているのであれば、専門医への受診をすすめましょう。認知症の初期症状で、不安感が出る場合もあります。物忘れなど、気になることがあれば、やはり専門医への受診をすすめます。身体の病気であれば受診に付き添ったり、家事が困難であれば、お近くの地域包括支援センターに相談してみたりなど、お母様が頼れる先を一緒に探す手伝いをしてみるのも、ひとつの方法です。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
関連するキーワード
みんなの
歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談※が利用可能
※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。