共働きなのに夫の私だけが家事をしている

忙しい相手を思いやってのサポートが「あたり前」になってしまうと、こんなはずではなかったのに、という気持ちになりがちです。自分ばかりが仕事で疲れたからだで家事をこなしているのに、とイライラが募ってくるのもわかります。

「妻は家事をしないことに慣れたのか」ということですが、日常生活での「あたり前」は確かに「慣れ」にもつながっていきます。夫婦や親子という極めて近い関係のなかで、相手から日常的にしてもらえることは、時間の経過とともにしてもらってあたり前になる傾向があります。

奥様にも家事をしてもらえるようになるためには、今の状態があたり前ではないことをわかってもらう必要があるでしょう。「あなたの仕事がとても忙しかったので、自然と自分が家事をやるようになった。しかし今は、〇〇と思っている」と自分の考えを言葉にして伝えて初めて現状に気づいてもらえることもあります。あれこれ言わなくても夫婦なら気持ちをわかってくれるはず、自分の気持ちを話すことは慣れておらず面倒と感じるかもしれません。だからといって、イライラした姿をみせて気持ちを察してもらうことは解決につながりません。まずは顔をあわせて対話をすることです。

対話をするうえでは、自分がより多くの家事をしていることを主張しないほうが賢明です。「あなたのためにこんなにやってあげている」という気持ちが前面に出てしまうと「頼んだ覚えはない」と返されてしまうこともあります。

まずは「家事をやってみたら、こういうところが大変だとわかった」と自分が行ってみて理解したこと、感じたことを具体的に話してみてください。言われたほうも「自分が大変だったことをこの人はわかってくれた」となって、お互いが同じ立場で家事の話ができます。

そこから「今までピンチヒッターでやってきたけれど、そろそろあなたにも家事に参加してもらいたい。今後はどのようにやっていこうか」という具体策を話し合う段階に入ります。こちらの意見を言う前に、十分に相手の言い分を聞いてみてください。1回の話し合いで終わらないときは、結論を急がずにじっくりと互いが納得できるまで話をするとよいでしょう。

対話をする環境は、相手の時間や事情を尊重したうえで、互いに余裕のある時を選び、自宅がよいのか外でお茶をしながらなどがよいのかにも気を配ってください。近い関係の人であればなおさら、こちらの気配りをうれしく感じてもらえるでしょう。