移動中などに一時的に意識を失うことがある

電車やバスに乗車中、気持ちが悪くなり一時的に意識を失って倒れてしまい、しばらく休むと症状が改善されるのですね。このような場合は、失神の症状と考えられます。

失神は、脳の血流量が減少することで起こり、短時間で自然に、かつ完全に回復する意識消失と定義されています。原因としては①反射性、②起立性低血圧、③心原性などがあります。

失神の診断は、脳の血流低下と意識消失の関連を証明することです。まずは問診で失神発作時の状況の把握を行います。その結果、神経調節性失神が疑われる場合は、ティルト試験（傾斜台試験）を行い、自律神経の調節異常の有無を確認します。この検査では、検査台の上に患者さんが横になり、検査台を動かして傾斜をつけながら心電図や動脈圧記録を観察し、自律神経の働きを調べます。

このほか、心電図や心臓超音波（心エコー）検査、血液検査、頭部CT検査、頭部MRI検査を行い、脳や心臓の疾患がないか確認することがあります。

ご相談者の場合、一時的に意識を失って倒れるということなので、早めに内科を受診し、医師へ相談していただくことがすすめられます。医師に状況をよく理解していただくためにも、受診の際には「いつから」「どんなふうに」「どの程度」「どのくらいの間にどのくらいの時間続くか」「どのような状況で」「症状を軽くまたは悪くするような因子はあるか」「主症状に伴う別の症状があるか」などを伝えるとよいでしょう。

受診までのセルフケアとしては、気分が悪くなった場合には横になったり、座るようにするとよいでしょう。また、不眠、飲酒、塩分制限、脱水なども誘発原因となる場合があるため、避けてください。弾性ストッキングを着用することも予防になります。