高齢の母の外反母趾手術
80歳になる母は外反母趾がひどく、主治医からは手術をすすめられていますが、高齢でもあり、迷っています。手術のメリット・デメリットをお教えください。
女性/50代
2023/09/23
外反母趾は足の親指の付け根が内側にせり出し、親指の先端が隣の第2趾に向かって曲がる病気です。進行して親指の付け根が大きく変形すると靴が履けなくなる以外に、親指に力が入らず、立ちにくい、歩きにくいなど、足の機能に影響が現れます。足首やひざ、腰などの痛みが現れることもあります。
外反母趾は女性に多く、65歳以上の女性の3人1人に外反母趾があるといわれています。足に合わない靴が要因の場合もありますが、加齢による筋肉低下や肥満なども一因と考えられています。
治療は、痛みの有無や程度など、個々の症状により異なり、一般的には運動療法や薬物療法、インソール(足底挿板)を用いるなどの治療を行います。治療で改善がみられない場合は手術が考慮されます。外反母趾の手術法にはいろいろありますが、最も一般的なのは中足骨(指の付け根から甲に伸びる5本の骨)を骨切りして矯正する方法です。手術は腰椎麻酔、または局所麻酔下で行われ、通常は1時間程度で終了します。翌日から歩行が可能ですが、従来の靴が履けるようになるには、2カ月間ほどかかることが多いようです。一般的な手術のメリット・デメリットとして以下のようなものがあります。
●メリット
手術により、根治を目指すことができる。
●デメリット
・手術の合併症として、神経損傷、矯正不足、感染症、手術の傷の治癒の遷延などが考えられる。
・中長期的には変形の再発、内反母趾などのリスクがある。
・循環器や呼吸器の病気、糖尿病などがある場合、麻酔ができず、手術適応とならないことがある。
・術後に骨が接合するのに2カ月間、腫れが完全に引くまでの期間を入れるとおよそ3カ月かかることが多い。その間、立ち仕事ができないなど日常生活に支障が出る場合がある。
・長い間外反母趾の状態で生活を続けていたため、外反母趾のある状態でバランスが取れていることがある。手術後、逆に歩きづらくなるケースも。
お母様はご高齢で、手術に踏み切れないお気持ちはわかります。高齢者では、1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下があるともいわれることから、外反母趾の手術による安静により、日常生活動作(ADL)の低下が懸念されます。一方、手術で完治して活動性を取り戻すことで、今後の心身の健康、ひいては寝たきりや認知症の予防に貢献することが考えられます。
外反母趾は病態が複雑で、個々の足で特徴が異なるため、治療や手術の適応も個々に違います。整形外科のなかでも足の外科を専門とする専門医を受診しましょう。足の外科専門医であれば、高齢者の治療例・手術例も数多く手がけていると思われます。相談されてみてください。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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