Question

高いHDLコレステロールは問題ない?

健診の結果、中性脂肪が50mg/dLを切り、HDLコレステロールが120mg/dLに近い数字でした。HDLコレステロールが高すぎるのもよくないと聞きました。また、血圧も低めです。

女性/20代

2023/06/21

Answer

健康診断の結果の見方ですが「基準範囲」はいわば健康な人の平均的な範囲を示したもので、実は健康な人も、5%は基準範囲を外れることになります。単純に「基準範囲なら健康、外れたら異常」ではないため、毎年健診を受け、経年変化の確認が大切となります。


●中性脂肪が低値

からだの中でもっとも多い脂肪で、糖質がエネルギーとして脂肪に変化したものです。低い場合、低栄養、低βリポたんぱく血症、甲状腺機能亢進症などが疑われますが、もともと体質的に低めの人もいます。


●HDLコレステロールが高値

HDLコレステロール値は、善玉コレステロールと呼ばれるものです。HDLコレステロール値が高い場合は、あまり問題視されることはありません。しかし、100mg/dL以上の場合は高HDLコレステロール血症と呼ばれ、このうちの3人に1人は、コレステロールエステル転送たんぱく(CETP)欠損症となります。肝臓がHDLからコレステロールを回収できないため、血中のHDLコレステロールが非常に多くなるケースと考えられています。高いHDLコレステロール値が動脈硬化症にどのような影響を与えているかは、今のところわかっていません。ただし、CETP欠損症で、高HDLコレステロール血症の患者さんに、動脈硬化性疾患がみられたという報告が上がっています。動脈硬化性疾患の心配があるかについては、一度医師に相談しておくとよいでしょう。HDLコレステロールが120を超えることが、受診の目安になっています。

ご自身の健診の結果に再検査などの指示があった場合は、その指示に沿って対応することをおすすめします。


●血圧が低い

収縮期血圧(上の血圧)が100㎜Hg以下を低血圧とする場合が多いのですが、確立された診断基準はないとされています。

収縮期血圧が100㎜Hg以下でも、とくに症状がない場合は「血圧の低い健康な人」と考えます。これに対し、何らかの症状を伴う場合は低血圧症といいます。低血圧症には原因のはっきりしない本態性低血圧症と、循環器や呼吸器、内分泌の病気や神経疾患、薬によるものなど、原因が明らかで血圧が低下する症候性低血圧症があります。とくに多いのが、原因のはっきりしない本態性低血圧症です。

めまい、立ちくらみ、頭痛などの症状がある場合は、循環器専門医のいる医療機関への受診をおすすめします。症状がなく、基礎疾患もない低血圧は、特に治療の必要はありません。そのため、体調に問題がなければそのまま経過をみてよいのですが、血圧が低いことで朝が弱いなど、日常生活に影響がみられる方がいます。その場合は、規則正しくバランスのとれた食事をとること、水分を十分にとること、睡眠を十分にとること、適度に運動にすることなどがよいといわれています。

特に夏は、気温が上がることで血管が広がります。さらに発汗によって血管内の水分が少なくなり、低血圧を起こしやすくなります。十分な体調管理が必要でしょう。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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