トランス脂肪酸について知りたい
最近「マーガリンはからだに悪いという定説は間違い」という情報を目にしました。本当でしょうか? マーガリンに含まれるトランス脂肪酸がよくないことから、マーガリンもからだに悪いと思っていました。トランス脂肪酸のリスクはどの程度か知りたいです。
女性/50代
2023/04/30
トランス脂肪酸は、マーガリンやファットスプレッド、ショートニングなどの製造工程で生成される脂肪酸で、不飽和脂肪酸の一種ですが、飽和脂肪酸に近い性質をもっています。過剰に摂取すると、冠動脈疾患のリスクを高めるという報告があり、WHO(世界保健機関)は2003年に「トランス脂肪酸量は総エネルギー摂取量の1%未満」にするように勧告しました。
冠動脈疾患に関与するものとして飽和脂肪酸があり、同量摂取ではトランス脂肪酸の影響のほうが大きいと考えられるといわれますが、通常の食生活でのトランス脂肪酸摂取量は少ないため、健康への影響は小さいと考えられます。
日本では食品に含まれるトランス脂肪酸について健康影響評価が行われ、大多数の日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、平均値0.3%エネルギーにとどまることがわかりました。摂取目標量は定められていませんが、1%エネルギー未満にとどめることが望ましいとされています。
トランス脂肪酸の摂取量は国や地域によって異なるため、過剰摂取のリスクの高いところでは表示の義務づけや使用規制などを設定しています。一方、摂取量が少ないところでは、表示の義務づけや濃度の上限値の設定は行わず、事業者に飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の総量を自主的に低減するよう求めています。
日本では、2011年に「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」が消費者庁より公表され、食品事業者にトランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示する取り組みを進めるよう要請しています。また、食品事業者の努力により、トランス脂肪酸の濃度がこれまでよりも低い食品が販売されています。
参考までに、2010年度に食品安全委員会が調査したマーガリン・ファットスプレッド、バターに含まれるトランス脂肪酸の含有量を示します。
●マーガリン・ファットスプレッド:7.004g(平均値)
●バター:1.951g(平均値)
バターのほうがトランス脂肪酸の含有量は少ないものの、バターには飽和脂肪酸が多く含まれるので、とり過ぎると冠動脈疾患のリスクを高めることは考えられます。やはり、マーガリンでもバターでもとり過ぎないことが、健康維持には大切といえるでしょう。
なお、食品安全員会では食品に含まれるトランス脂肪酸の健康影響について示しています。農林水産省、厚生労働省、消費者庁などの各機関も情報の収集解析を行い、国民への情報提供を行っています。よろしければ、各省庁のサイトも参考にしてみてください。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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