胸にしこりがあります。乳がん検診の異常なしを信用してよい?
セルフチェックで気になる乳房のしこりと胸の痛みで検査を受けました。触診と超音波(エコー)検査の結果、正常との診断を受けて安心したものの、信用してよいのか不安もあり、次の3点について教えてください。
●乳がん検診で見過ごされる場合の原因は?
●マンモグラフィとエコーのどちらかしか受けられないのはなぜか?
●会社の健康診断に乳がんや大腸がんが含まれていないのはなぜか?
女性/30代
2023/01/09
胸のしこりと痛みがあり、医療機関を受診したとのことで、積極的に健康に気を配っている様子が伝わってきました。
●乳がん検診の見過ごしについて
乳がん検診における、見過ごされることについては、がん検診では「偽陰性」(がんが 100%見つかるわけではないこと)が偶発的に発生してしまいます。偽陰性とは、がんがあるにもかかわらず、検査で異常なしと判定されることをいいます。優れた検査であっても限界があり、100%がんを発見できるわけではありません。マンモグラフィや乳房超音波(エコー)検査で発見できないがんもあります。また「高濃度乳房」と呼ばれる乳腺の密度が高い方は、画像上での読影が困難なため、厚生労働省が関係機関宛てに対応と課題などを周知した経緯があります。
早期発見のためには、ご相談者が行っているように、セルフチェックをすること、定期的に検診を受けること、がん検診で精密検査の指示があったときは、速やかに指示どおり対処すること、自覚症状があるときは乳腺外科を受診することがすすめられます。
●マンモグラフィと乳房超音波検査について
一般的には、乳腺が発達している20・30代の女性は乳房超音波検査が、それ以上の年代ではマンモグラフィが適しているといわれています。日本で実施される対策型検診は、自治体が行う住民検診のことで、公共的医療サービスとして提供されています。対策型検診は、住民全体の死亡リスクを下げること(死亡率減少)が目的で、費用の一部は税金などで賄われています。そして、住民全体の利益が不利益を上回る方法であることが必要です。これらの要素を満たす対策型検診における乳がん検診は、現在、死亡率減少効果の示されているマンモグラフィが推奨されています。対策型検診の乳がん検診で、マンモグラフィに加え乳房超音波検査を行うことは、2つの検査を併用することによって死亡率が減少するかの科学的根拠や、受診者の不利益が明らかとなっていません。この点が対策型検診で乳房超音波検査を併用しないおもな理由です。
これに対し、人間ドックなどで行われる任意型検診は、個人の死亡リスクを下げることなどを目的としているため、マンモグラフィと乳房超音波検査を併用することがあります。
どの方法を行うかは、健診機関や自治体が検診の利益と不利益を検討し、受診者の希望も参考に設定されている状況かと思います。
●会社の健診内容について
会社の健康診断は、労働安全衛生法により雇用主が行うものとして、健診の目的や種類と項目が定められており、その中にがん検診は含まれていません。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
\ アンケートに答えて健康相談を無料体験 /
関連するキーワード
みんなの
歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談※が利用可能
※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。