Question

通院しても改善しない耳鳴り。どうすれば?

去年から左耳の耳鳴りが始まり、耳鼻科に通院しましたが治りません。最近は、右耳も大きいノイズが入るようになりつらいです。耳管開放が少しあり、何件か耳鼻科を回り、鍼治療や運動不足改善なども試みましたが一向によくなりません。

男性/30代

2022/11/06

Answer

耳鳴りの原因はさまざまで、病気によって耳鳴りの経過や治療法も異なります。まずは、耳鳴りの原因を明らかにするのが先決でしょう。多くの場合、耳鳴りは難聴を伴うので耳鳴りの原因診断のために、まず難聴の原因を検査します。原因がわかれば、まずその治療を行います。ご相談者の耳鳴りは難聴を伴う状態でしょうか。


難聴を伴わない耳鳴りは、多くの場合、生じても脳の慣れで徐々に感じなくなるとされています。エアコンや冷蔵庫の雑音を普段は意識しないのも同じ仕組みです。この過程で不安や焦り、不眠などが生じると持続的に耳鳴りを感じるようになるので、まずはこれらを解消することが重要でしょう。


心配のない音とわかれば、脳は耳鳴りを認識しなくなります。脳の順応を誘導するため、心理療法や耳鳴り順応療法(TRT)などの治療法を試みることがあります。TRTはカウンセリングと音響療法を組み合わせて行う治療法で、通常6カ月以上の治療が必要といわれています。治療を受けた患者さんのうち半数以上が、耳鳴りの煩わしさが軽減したとの情報もあります。


耳鳴り症状の治療において、まずは耳鳴りの原因を明確にし、漠然とした不安を取り除くことが大切です。それでも耳鳴りを苦痛に感じる場合は、心理療法やTRTが適応になるかを耳鼻咽喉科専門医に相談するのがよいでしょう。


耳鳴りは患者さんにしかわからないつらい症状のうえ、現在、治療法としては十分に確立していません。経過が長い場合は、症状と上手に付き合うことが必要です。耳鳴り症状の特性から、医師が短期間で改善する治療方法を提案するのは難しいといわれています。いくつかの耳鼻科に相談してもよくならないと感じるのは、それが理由の1つに考えられます。


耳管開放が少しあるとのことですが、耳管開放も特段の治療法があるものではないため、上手に症状と付き合う必要があります。不快な状態が続き、つらくなった場合、耳鼻咽喉科の医師へ相談し、必要に応じ治療を行う対処方法が通常です。


医師の診察は、初診で診断が確定できないことは多く、治療をしながら症状の変化など経過をみて、最初の見立てや治療方針を変えることはよくあることです。経過をみて診断が確定することや治療方法が安定することも少なくありません。

短い診察時間で医師とうまくコミュニケーションを取るために、これまでの経過や症状の変化、治療歴、質問事項をあらかじめ整理し、メモにまとめて持参するなどの工夫がおすすめです。医師の診察時間は限りがあるので、優先順位を考えて質問するとよいでしょう。看護師など療養を支援するスタッフにも上手に相談することで、疑問や不安が解決されやすくなると思います。


いくつかの耳鼻咽喉科を受診されているようですが、耳鳴りの症状の特性をふまえ、主治医を定めることをおすすめします。そのうえで、これまでの治療経過から、症状にあわせて治療を選択していくなど、主治医と今後の治療方針を考えていくことが必要な対処ではないかと思われます。耳鳴りの背景に耳の病気があるのかどうか、治療の選択肢、その中で推奨される治療法、そのメリットとデメリット、すすめる理由などを、診察時に主治医の考えを質問しましょう。それらを聞いたうえで、治療に関する希望を伝え、治療方法を相談し、選択するとよいでしょう。


なお、TRT療法については、実施している医療機関が限られます。治療を希望される際は、耳鼻咽喉科主治医へ治療の適応になるかを相談し、必要に応じて主治医から医療機関を紹介してもらってはいかがでしょうか。まずは主治医との相談をおすすめしますが、耳鳴りの専門外来をもつ医療機関もあります。耳鳴り専門外来を受診するかも、主治医と相談するのがよいと思います。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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