Question

たんを上手に切る方法

私はたびたび上気道炎や気管支炎を起こしますが、たんの切り方が下手なので改善したいと思っています。日中、がんばって出すときもありますが、かなり力が要ります。会話の途中や就寝後は飲み込んでしまいます。上手にたんを切るポイントはありますか?

女性/50代

2022/01/28

Answer

上気道炎や気管支炎の後、たんがあるものの、うまく出せないのですね。今回は、たんのケアについて考えてみたいと思います。


たんは、鼻から肺までの空気の通り道(気管や気管支などを含む)の分泌物に、外界の空気中のほこりやちり、ウイルスや細菌などの異物を含んでいます。健康な人の気管や気管支粘膜からは、1日に50~100mlほどの粘液が分泌されています。たんは、気管や気管支の表面にある線毛の運動(線毛運動)で口の方へ移動し、一部はせきとともに体外に排出されますが、多くは移動の途中で吸収され、消失します。一部のたんが線毛運動でのど近辺に達しても、食道に入り飲み込まれます。健常ならたんを出すことはほとんどなく、あっても日に1~2回程度ですが、喫煙している場合などは増えます。


一方、ウイルスや細菌などの感染で上気道炎や気管支炎を起こしているときは、感染源と闘う白血球や気管支などの上皮細胞もたんのなかに含まれ、量も増加します。また、気道の粘膜に炎症を起こしている気管支ぜんそくなどの呼吸器の病気では、炎症によって分泌物が増えます。たんの増加は、分泌物の増加、性状(粘度)の変化、線毛運動の障害などが背景にあると考えられます。


たんのスムーズな移動には次の3つの要素が重要です。

・線毛運動

・重力:たんは重力によって移動します。

・せき(呼気流):呼吸によって気道内に気流が発生し、早ければたんを移動させる力が強まる。


たんは乾燥すると粘度が高くなり、気道の粘膜からはがれにくくなります。たんの水分量を多くすることで、たんは粘膜からはがれやすく、出しやすくなります。具体的には、以下が自分でできるケアになります。

・水分をこまめに摂取する

・室内は加湿器などで加湿する

・入浴時の湯船の湯気や温かい飲み物の湯気を吸い込む

・外出時はマスクを使用し乾燥を防ぐ


セルフケアを行ってもたんの症状でお困りのときは、医師に相談すると、たんを出しやすくする薬の使用など、病気や症状に合わせた適切な治療を考えていただけると思います。


ご相談者は、たびたび気管支炎を起こすとのこと。感染症などによる炎症が一過性の場合、たんの量は一時的に増えますが、時間とともに軽快します。急性気管支炎のときのせきやたんの症状は、軽快までに少し時間がかかることもありますが、3週間以上症状がつづく場合は内科の診察を受け、慢性的な呼吸器系の病気などがないか、診てもらいましょう。


また、一日中つづくのどに絡むようなたんの症状は、副鼻腔炎などの鼻の病気で鼻水が増えてのどに落ち(後鼻漏)、絡んでいる場合も考えられます。後鼻漏は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎のほか、かぜと称される上気道炎など鼻に炎症を起こす病気で起こります。通常、鼻水の多くは鼻の後ろを通ってのどに落ちますが、健康なときにはほとんど自覚しません。副鼻腔炎はかぜなどをきっかけに容易に起こるので、一日中のどに鼻水が落ちて絡むといった場合、耳鼻咽喉科を受診して鼻の状態を確認してもらうのも手です。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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