Question

うつ病で通院中。「陽性転移」とは?

私はうつ病で、19年間、精神科に通院しています。今まで4人の精神科医が「あなたのうつ病は治せない」とさじを投げました。今の主治医は、かれこれ2年目ですが、優しくて大好きです。精神科医を好きになることは「陽性転移」で、よくないことなのでしょうか? 陽性転移とは何ですか? その先生が既婚者と知らず、告白してしまいました。先生は「気持ちを話してスッキリしたなら大丈夫ですよ」と言ってくれましたが、自分では陽性転移なのかと不安です。

女性/40代

2022/01/28

Answer

長い間、うつ病の治療を続けてこられたのですね。医師から治せないと言われたときは、さぞかしつらい気持ちになられたことでしょう。それでも、今までよくがんばってこられましたね。現在は、主治医の先生に対する好意があり、それが悪いことではないかと悩んでいらっしゃるご様子です。ご相談者が、こういった気持ちとどう向き合って行けばよいかを考えてみたいと思います。


一般的に「転移」とは、患者さんが過去に重要であった人に対して抱いた感情を、医師などの治療者に向けることをいいます。好意的な感情の変化を「陽性転移」、逆の場合は「陰性転移」と呼ぶこともあり、精神科の治療場面でこういった感情の変化が見られるのは珍しいことではありません。主治医に対するご相談者の好意的な感情が、陽性転移であると断言することはできませんが、治療のなかで生じた感情であれば、転移である可能性も考えておく必要があると思います。


ご相談者は、陽性転移はよくないことなのではないかと不安になられているご様子ですが、必ずしもそうではありません。精神科の治療では心の問題を扱いますので、その経過のなかで、いろいろな感情と向き合わなければなりません。陽性転移もそういった感情の1つであり、なぜそのような感情が湧き起こるのかを考えていくことが大切です。それにより、その人が抱えている心理的な問題が見えてくる場合もあります。


そのためには、ご自分の感情や不安な気持ちを主治医の先生にお話しし、一緒に考えていく必要があると思います。ご相談者は先生に告白したとのことですね。その際、その気持ちが陽性転移なのではないかと不安に思っていることも、併せて伝えたのでしょうか? もし伝えていないのであれば、ぜひその点も相談され、先生の意見を聞いてみてはいかがでしょう。そういったお話のなかで、自分の感情と向き合うことが、治療に役立つのではないかと思います。


ご相談者が一日も早く病気から回復され、いきいきとした毎日を送れますようお祈りしています。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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