突発的な下痢。もらしてしまうことも
季節に関係なく、下痢に悩んでいます。もらしてしまう事もあるため、オムツをした方がよいのでしょうか? 突発的に起こるので、いつ下痢になるのかはわかりません。今はトイレットペーパーを使用しています。
女性/60代
2022/01/28
下痢の症状に伴い、もらしてしまうこともあるとのこと。話しにくい症状なので、人知れず悩んでいる方は多いといわれています。お悩みの症状について考えてみましょう。
便失禁は、「無意識または自分の意思に反し、肛門から便が漏れる症状」です。日本では 65 歳以上で便失禁症状がある方は男性 8.7% 女性 6.6%という調査結果もあり、まれな症状ではありません。適切な診断と治療によって改善でき、近年、日本でも治療指針が策定されています。
自分の意識で肛門を締めるのは、外肛門括約筋です。また、自分の意思では動かせない自律神経支配の内肛門括約筋という筋肉が、無意識に常に肛門を閉じています。 しかし、これらの肛門括約筋で肛門を閉じても約1㎝程度の隙間があり、完全に閉じてはいません。その隙間を埋めるのは、括約筋の内側にある粘膜下部分で、水道の蛇口に例えると、ゴムのパッキンの役割を果たしています。
気付かないうちに便が漏れる状態は、内肛門括約筋が閉まりにくくなることによります。便意を感じてもトイレまでがまんできず漏れるのは、外肛門括約筋が十分に締まらないことが原因です。
便失禁の原因は、加齢による肛門括約筋の収縮力の低下や、自然分娩、直腸や肛門の手術後、事故などによる脊髄損傷、糖尿病などの病気に伴うものなど、いくつかの要因があり、これらが複数重なって発症していると考えられます。明らかな原因がなく起こることもあります。
便失禁がある場合、第一にすべき対策は、便通を整えて便秘や下痢を防ぐことです。食事内容を整え、便の形があって硬すぎない状態に調整することが理想的です。肛門部分の締まりが弱い場合、下痢便は、漏れ症状を悪化させることになります。食事に注意しても軟便や下痢の症状が改善しない場合、薬で便の硬さを調整することもあります。
食事の注意点としては以下のような点に注意しましょう。
・食物繊維を摂取する
野菜、きのこ類、海藻類など、便を固める食物繊維が豊富な食材を進んでとる。
・便を軟化させるものを控える
アルコールやカフェイン、かんきつ類、香辛料の摂取を控える。
食事内容と便の状態の関係や傾向を、記録するなどして把握しておくとよいでしょう。
そのほかの生活習慣上の注意点です。
・排便習慣をつける
朝食後はトイレに行き、計画的に排便を試みる(座る時間は5分前後まで)。便意を感じたら直ちにトイレに行く
・骨盤底筋体操を行う
腹筋に力が入らないよう、楽な呼吸のままで、肛門を10秒間ギュッと締め20秒ゆるめることを10~20回、1日3セット行う。慣れるまでは、おなかに手を当て腹筋に力が入っていないか確認しながら行うのもよい。
日ごろから下痢にならないよう食事に注意することが基本ですが、外出時など不安なときにパッドや紙パンツを使用する、交換用の下着を携帯するといった準備が安心につながります。浣腸で排便してから外出する方法もあります。日常的に食事や運動の対処をしても便失禁をくり返し、生活の質が損なわれる場合、消化器内科で相談するとよいでしょう。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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