Question

定年後、運動不足で便秘に。病気も心配

定年退職してからずっと家にいます。たまに図書館やDVD店へ行くくらいで、交通手段は車です。そのせいか、とうとう便秘になってしまいました。どうしたらよいでしょうか? 一応、漢方薬を飲んだりしていますが、このままいくと何かの病気になるのではと心配しています。

男性/60代

2022/01/28

Answer

スムーズな排便は、健康な生活を送る大切な要素です。定年退職後、外出の機会が減って長引く便秘になり、漢方薬で対処されているとのこと。便秘によって起こる病気が心配で、対処法のご相談をいただきました。


平成28年国民生活基礎調査では、男女ともに加齢に伴い便秘を訴える率が増え、70歳以上では急増しています。背景に消化液の分泌・蠕動(ぜんどう)運動の低下や腹筋などの筋力低下、排便に関わる反射の鈍化など、加齢による要因が関係しています。


環境の変化や活動量の低下は便秘を起こす要因です。また、食事摂取量の減少、内服薬の影響、甲状腺機能低下症などの病気の症状としてなど、加齢以外の要因が関係する場合もあります。


便秘による健康への影響については、大腸がんの発生リスクの増加に関する研究調査がありますが、その結果にはばらつきがあり、現在は不明と結論づけられています。

便秘は生活の質を低下させる要因となります。

内科的な治療が可能とされ、慢性の便秘は内科などで治療します。


一般的な治療薬は以下のとおりです。

・整腸剤

・便の量を増やす薬(膨張性下剤)

・腸内で水分泌を起こして便の水分量を増やし、排便を容易にする。量を増し大腸を刺激する薬(浸透性下剤)

・大腸を刺激して排便を促す薬(刺激性下剤)

・小腸や腸粘膜上皮に作用し、腸管内への水分泌を増加して排便を促進する薬(上皮機能変容薬)。※新しい薬ですが、妊婦は使用できないなど注意事項あり


市販の便秘薬や医師による薬物療法には選択肢があり、薬を使用して改善を図ることができます。しかし、刺激性下剤は習慣性の問題が指摘され、習慣的な使用は腸の自発的な蠕動運動に支障をきたし、排便困難になる事例の報告があります。まずは生活改善を試み、必要に応じて薬による治療を検討しましょう。


●生活習慣を整えるポイント

・朝食摂取から1時間以内に消化管の蠕動運動が起こりやすいので、朝食後5分程度トイレに座る習慣を作る

・ウオーキングや軽いジョギング、自転車、水泳など運動をして腸の蠕動運動を促す。腹筋などを鍛え、筋力をつける

・朝食をきちんととる。野菜など食物繊維や水分を十分にとる(1日1.5ℓが目安)。

※油は潤滑油のような働きがあるため、1日に1品は炒め物やサラダのドレッシングなどからとる。ヨーグルトなどの乳酸菌の摂取と乳酸菌の餌となるオリゴ糖を意識してとる。運動や食事について医師からの指示がある方は指示に従いましょう。


ご相談者の便秘対策としては、まずは排便習慣や運動、食事など、生活習慣の見直しから始めてみましょう。改善が見られない場合は、服用中の漢方薬を持参して医師の診察を受けてください。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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