血管内焼灼術のレーザーと高周波の違い
下肢静脈瘤で血管内焼灼術による治療を検討していますが、レーザーと高周波による治療ではどのような違いがありますか。
女性/50代
2022/01/28
下肢静脈瘤の治療の1つに血管内焼灼術があります。カテーテルを静脈内に挿入し、レーザー、もしくは高周波エネルギーによる熱で静脈の内側を焼灼して、原因血管を閉塞する血管内治療で、おもに伏在型静脈瘤に適応されます。
血管内焼灼術は、皮膚を切開することがないため傷が残りづらく、手術時間が片足約15分~20分程度と短いのが特徴です。また、局所麻酔や静脈麻酔などで治療ができるため、日帰りで実施できるという利点もあります。
血管内焼灼術には、レーザーと高周波による治療があります。
レーザーによる治療は、血管内レーザー焼灼術と呼ばれ、細長いレーザーファイバーを静脈に挿入し、先端からレーザー光を照射して血管壁を熱破壊することで閉塞させる治療法です。
レーザーは波長によりいくつか種類があり、健康保険適用されたものに波長980nmレーザーと1470nmレーザーがあります。どれぐらいのエネルギーで静脈を焼くことができるかが2つの違いで、波長980nmレーザーに比べ、波長1470nmレーザーを使った治療の方が、痛みや皮下出血が起こりづらいと報告されています。
高周波による治療は、血管内高周波焼灼術と呼ばれ、高周波(ラジオ波)によりつくられた高熱により血管壁を熱凝固させることで血管内腔を閉塞させる治療法です。
レーザーよりも手術時間が若干短く、術後の痛みが弱いのが特徴ですが、挿入するカテーテルがやや太いため、照射部位が短い血管や、蛇行が強い静脈の治療には向きません。
波長980nmレーザーは手術後の痛みや皮下出血が強いことが問題でしたが、その後に保険適用された高周波治療は合併症が非常に少なく、高周波治療のほうが優れていると考えられていました。
しかし、1470nmレーザーが保険適用となってからは、レーザーの治療成績も大幅に改善し、現在は高周波と大きな差はありません。
どちらの治療を選択するかは、診察した医師とよく相談するとよいでしょう。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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