Question

長年ひきこもっている息子にどう対処

職場の人間関係に悩み、退職してから10年以上もひきこもっている30代の息子がいます。ほとんど口も利かず、反抗的な態度をとることも多く、どう対処していいかわかりません。妻も私も高齢になり、将来を考えると不安です。

男性/50代

2021/12/21

Answer

長期間にわたって学校や仕事に行くことができず、社会との接触を断ち切って、自宅にこもっている状態を「ひきこもり」ということはご存知だと思います。ひきこもりは、いじめや不登校が原因で思春期などに始まることが多いのですが、職場の人間関係などが原因で起こる「大人のひきこもり」も増加しており、その高年齢化が社会的な問題になっています。また、最近では、パソコンの普及やネットゲームの氾濫が昼夜逆転生活につながり、ひきこもりを強化する要因になっています。親はどんどん歳をとっていくわけですから、今後に向けて不安な気持ちが高まるのは、とてもよくわかります。


親としては、「育て方が悪かったのではないか」「家族が原因なのでは」と自分を責めてしまうかもしれません。しかし、ひきこもりの原因は人それぞれで、家族の問題だけとは言い切れません。行動を起こさない息子さんに対して、怒りや苛立ちを覚えることもあると思いますが、本人の側に立ってみると、社会に対する強い不安から自分を守るためにひきこもっていると考えることもできます。「まずは家庭内で何とか解決しよう」と考えるのは当然のことだと思いますが、状況に変化が見られない、事態が膠着しているという場合には、外部の専門家の力を借りることが重要になります。


息子さんが反抗的な態度をとるということですが、実は「何とかしたい」という気持ちを誰にも話せずに苦しんでいる可能性もあります。社会から長い間、距離を置いている息子さんに、専門家への相談をいきなり勧めるのは、とてもハードルが高いことです。まずは、家族が相談することから始めましょう。接し方についての助言により息子さんとコミュニケーションがとれるようになったり、家族が専門家から得た情報に息子さんが触れたりすることで、自らが「相談したい」と思うようになる可能性があります。


ひきこもりは、「状態」を表す言葉で病気ではありません。しかし、その陰に精神疾患が隠れていたり、ひきこもり状態が長く続くことで、新たに精神的な症状が生じたりすることもあります。この場合は、服薬が功を奏することもあるため、メンタルクリニックや精神科などへの受診につなげることが必要です。なかには、ひきこもり状態の患者さんを専門に、治療を行っている医療機関もあります。この場合も、本人の受診が難しければ、家族が先に受診し、どのようにして本人を受診につなげられるか、医師と話し合っていくことが重要です。


ひきこもりは、社会全体の深刻な問題であるため、相談できる機関も増えています。各都道府県に設置されている精神保健福祉センターは、ひきこもりで悩む家族や当事者のための、専門相談窓口を設けており、精神科医が相談に応じる場合もあります。また、当事者のために、無理のない範囲で居場所作りを提供する機関や、就労相談に応じる機関もあります。時間はかかるかもしれませんが、あきらめず、根気よく、相談を続けていくことをお勧めします。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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