主治医を信頼できない、転院すべき?
3年ほど前から、うつ病の治療のため、心療内科に通院しています。主治医は、最初こそていねいに話を聞いてくれましたが、患者が多いこともあり、しだいに診察時間が短くなり、今では薬をもらうためだけに通っているような状態です。主治医を信頼することができず、通院が苦痛です。このままなら、転院も考えてしまいます。
男性/50代
2021/12/21
ストレス社会が深刻化しているといわれる現在、メンタル面で不調を訴える人が急増し、心療内科や精神科は混み合う状態が続いています。患者側が「じっくりと話を聞いてほしい」と願う一方で、患者数が増えることで、一人一人にていねいな診察ができないという医師側の厳しい実情もあります。そんな中で、あなたが、よりよい治療のため、「信頼できる医師」を求めて、転院を考えるお気持ちは、とてもよく理解できます。
ところで「信頼できる医師」とはどのような医師なのでしょうか。「やさしくおだやかに話を聞いてくれる医師」がいいと思う人もいれば、「はっきりと厳しく指示を出してくれる医師」を信頼する人もいるでしょう。人間である以上、「相性」の問題もあります。いずれにしても、親身な対応が重要なポイントになると思います。「この人になら何でも話せる」と思えることが、信頼関係の構築につながるのではないでしょうか。ですから、十分なコミュニケーションが取れないままに、薬の種類や量だけが増えるなど、不信感を抱くことが続く場合は転院を含め、今後の治療について考えてみることが大切になってきます。
しかし、転院には、メリットだけでなく、デメリットもあることを知っておくことが重要です。第一に、新しい医師が現在の主治医よりも「よい医師」である保証はないということ。第二に、あなたが今までの主治医と築いてきた関係性を、新しい主治医とあらためて作り直さなければならず、治療関係がいったん振り出しに戻るということ。そして第三に、病院探しなどを含め、かなりのエネルギーを費やすことになるということです。
転院という選択肢のほかに、今は精神科のセカンドオピニオンを利用することが一般的になってきました。セカンドオピニオンとは、治療方針や診断等について、主治医以外の専門医から意見を聞いて、患者自らが、治療法を選択し、納得して治療を受けるための手助けにすることを目的に行われているものです。セカンドオピニオンは、医師を変えることではありませんので、転院を決める前に利用することができます。地域の保健所や精神保健福祉センターの中には、セカンドオピニオンを行っている医療機関を教えてくれるところもあります。手続きなどを含め、問い合わせてみることも一案です。
このように、転院にもセカンドオピニオンにも、ある程度の手間と労力がかかります。それぞれにメリットとデメリットがあることをしっかり理解して、今後の治療について考えてみてください。そのうえで、現在の主治医ともう一度、治療方法について、話し合ってみることをお勧めします。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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