Question

こだわりが強すぎて物を捨てられない

何年も着ておらずサイズも合わない洋服や学生時代のかばん、子どもの頃に集めていたシールや消しゴム、きれいな包装紙や紙袋など、使う予定がないとわかっていても愛着やこだわりがあって、捨てることができません。物が増える一方で部屋も片付かず、このままではいけないと思ってはいるものの行動に移せない自分がいます。物へのこだわりを捨てるには、どうすればよいのでしょうか。 

男性/30代

2021/12/21

Answer

物を「捨てる」「処分する」ということは、じつは大多数の人にとって、抵抗を感じる作業なのではないかと思います。「物を大事にしなさい」と言われて育った、という方も多いのではないでしょうか。長い歴史の中で、これほど物があふれた時代というのは、ほんの最近の短い期間のことです。むしろ物のない環境の中で、乏しい物を長持ちさせていかに生き延びるか、ということが最大の課題だった時代が圧倒的に長かったのです。ですから、物が豊富にある中で、「余計な物を処分する」という新しい課題に私たちは不慣れです。まだ上手に対処できなくても仕方がないのです。


もし、広いスペースがあって物をしまっておける余裕があるのなら、無理に「物を捨てる」という難題に取り組む必要はないと思います。しかし、そう言ってもいられない事情があるのであれば(たぶん大多数の方はそうですよね)、ご自身の中にある、物を捨てる妨げになっている抵抗感やためらいに向き合う必要が出てきます。


その前にまず、ご自身の状況を振り返ってみてください。心身の状態は健康でしょうか。疲れがたまっていたり、ストレスで日常生活を送るのも困難だったり、身体の病気で体力が弱っていたりしないでしょうか。先にお話したとおり、「物を捨てる」作業は難題です。エネルギーのいる作業でもあります。心身の健康状態が思わしくないときは、体調を改善させることが優先事項となります。また、ある程度の時間の余裕も必要です。今すぐやらなければいけないことがあるのなら、それが済むまで先延ばしにしましょう。


さて、前に述べた条件をクリアしていたら、あらためてご自身の「捨てられない」という思いに向き合いましょう。“物を捨てる→抵抗→捨てられない理由→捨てない”というのは、先にお話したとおり、むしろ自然な心の動きです。無意識的に捨てられない理由を挙げて、「捨てない」行動を正当化しているのです。それが理にかなっていて、命を救うくらい大事だった時代も確かにありました。だから、そうなったとしても、自分を「だめだ」と責めたり、自信を失ったりはしないでくださいね。そういう気持ちがわくご自身、抵抗があっても「このままではいけない」と思えたご自身を、十分に受けとめて認めてあげましょう。


自分を認めてあげられたところで、次に取り組むこととしては、自分自身のこだわりへの意識改革です。「物への愛着」は、本当のところ、「物にまつわるご自身の思い出への愛着」です。「物」はあくまで「物」。あなたご自身にとって大切なのは、「物」そのものではなく、「物」にまつわる体験なのではないでしょうか。着られなくなった洋服の中には、その洋服を着て出かけたときの楽しかった体験の思い出があるかもしれません。子どもの頃集めていたシールや消しゴムには、親に買ってもらってうれしかった体験の思い出、きれいな包装紙や紙袋は、そこに包まれたプレゼントを贈られたときの感動の思い出、どれもあなたにとって大事な体験だったに違いありません。


では、物がなくなってしまったら、その体験はなくなってしまうのでしょうか。そんなことはないはずです。一つひとつの体験はあなたの中に残っているはずです。もしかしたら、思い出せないものもあるかもしれなくとも、それは今のあなたを確実に形づくっているものなのです。そして、今後もあなたは、いろいろな素敵な体験ができるし、新しい物との出会いが待っています。今ある物を手放すことで、もっとよい物と巡り会えるかもしれません。そんな風に、現在のご自身を肯定することやご自身の可能性を感じることができると、物へのこだわりは少しずつ薄らいでいくかもしれません。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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