Question

勤務態度は悪いが評価を得ている同僚

私の同僚は、勤務態度がよくなく、遅刻やささいなミスをくり返します。しかし営業成績自体はよく、些細なミスでの悪印象も、その成績により何となく許されてしまっている状況です。私は、その人の成績よりは劣るものの、なるべくミスをしないように細心の注意を払い、勤務態度もいたってまじめですが、その人のほうが評価を得ているようで、なんだかもやもやしています。もちろん、数字がすべてということは重々承知の上です。その人のことを気にすることが増えストレスになっています。どうにかしたいです。

男性/30代

2021/12/21

Answer

これでは、まじめにやっているのに損しているような気持ちになりますよね。そもそも「社会人なのに遅刻をくり返すなんて、あり得ない!」と思うのではないでしょうか。実際、この同僚の素行の悪さに眉をひそめたり、イライラしたりしているのはあなただけではないでしょう。そうであれば、職場全体の士気にも影響を与えている可能性があり、なおさら、この同僚の評価がよいというのは納得いきませんよね。


他人の言動が気になって仕方がないという時は、もしかすると、知らずに抑えている自分の欲望や願望を、他人がやすやすと実行していてうらやましいという気持ちがあったり、あるいは自分のこころの中に自分でも気づいていない嫌いな自分がいて、その嫌いな自分を他人の言動の内に見出して嫌悪してしまったり、などといったこころの深い部分での動きがある可能性があります。ただ、今回はもう少し大きな視点で、もう少しやわらかく、「物語」という考え方を使ってあなたの悩みを解きほどいてみたいと思います。


まず、あなたの職場に、自身の勤務態度は非常によく、勤務態度が悪い人に対しても寛大な人がいるとします。他者の態度に寛大な人(以後「寛大さん」とします)と、そうではない人たちとの違いは何だと思いますか。前述した「物語」という考え方を使うなら、「寛大さん」の紡いできた物語と、あなたが紡いできた物語が違うから、という答えになります。


日本社会では多くの人が子どもの頃から、親や先生の言いつけを守って育ちます。遅刻しないこと、授業に集中すること、そして毎日宿題をすることで、よい子として認められますよね。逆に、遅刻をすれば、あるいは宿題を怠れば、先生からも親からも怒られ、悪い子と見なされるでしょう。こうして長い年月をかけて紡がれる物語によって「社会人なのに遅刻をくり返すなんて、あり得ない!」という意識がつくりだされるのです。一方、寛大さんはあなたと同じように、「遅刻は悪いこと」という物語もきっと持っていると思います。しかし同時に、別の物語もひとつ2つ併せ持っているのでしょう。例えば「ルールよりも人が大切」という物語を、これまでの人生で紡いできたのかもしれません。そうすると寛大さんの、同僚の方への印象においては「ルールを守れない時点で社会人失格だ!」とはなりません。おそらく、「勤怠と成績は別もの。遅刻するなら所定の減給はされるだろうが、営業成績は別で評価されるべき」という考え方なのではないでしょうか。あるいは、異文化体験を多くしていて、他の国や文化ではルールがもう少しゆるやかで、そのよしあしはあるにせよ、多少ゆるやかな環境の方がむしろ気持ちよく仕事できる、という物語を持っているのかもしれません。


ひとつの職場には、さまざまな物語をもっている人たちが集まっています。自分の物語とは違う物語に遭遇した時、自分の物語を守り通そうとするのもひとつのあり方ではありますが、相手の物語をこころの中に取り入れてしまう方が、後々こころに幅ができて楽になるものです。そう、物語を複数持つということですね。この勤務態度の悪い同僚はどんな物語を紡いできたのでしょう。時間があれば、「寛大さん」、自分、勤務態度の悪い同僚、三者三様の物語を考えることで、少し気持ちがやわらぐかもしれません。よかったら、試してみてくださいね。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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