仕事と治療の両立
最終編集日:2022/1/28
厚生労働省の調査によると、がん患者の約3人に1人は働き盛りの20〜60歳代で、仕事をしながら治療を行っています。また、がんの診断を受け、仕事を辞めざるを得なかった人が半数近くにのぼるという調査結果もあります。
がんの診断を受け、回復に向けて治療をすることになっても、毎日の生活はいつもどおりつづきます。とくに仕事と治療の両立にはむずかしい現実がありますが、現実を受け止め、周囲の協力を得ていくことが大切です。
これからの生活をもう一度見直す
治療を始める前に、治療中の生活や仕事のことなどをきちんとシミュレーションしておくことが大切です。治療は仕事だけでなく、家庭生活、社会活動など日常すべてを大きく変えてしまいます。今後の生活がどうなるのかをしっかり確認しておかないと、対策が立てられなくなってしまいます。
職場の人にも病気のことを話す
病気のことはだれにも知られたくない、と思うのは当然です。でも、しっかり伝えておかないと理解も協力も得ることができません。職場の全員に話す必要はありませんが、できれば信頼できる上司や先輩にきちんと相談してみましょう。症状や治療のこと、迷惑をかけることになること、これからもできる仕事をきちんとしていきたいこと、などを落ち着いて伝えましょう。
できること、できないことを明確に
がんの治療は長期にわたり、体調に変化が起きることもあります。今までと同じようには働けないことを周囲に伝え、できることを明確にしましょう。ここで大切なのは無理をしないことです。できないことをできるということほど、周囲に迷惑をかけることはありません。治療と仕事、どちらかを優先するのではなく、両立するためにできる仕事を選択することが大切です。
急いで大きな決断をしない
早急に、退職などの大きな決断はしないようにしましょう。がんの告知を受け、精神的にも肉体的にも消耗しているときに、正しい判断はできません。あせらず周りの意見を聞きながら、ゆっくり前に進んでいきましょう。退職などの決断はいつでもできます。今の生活を維持しながら治療を進めていくために何が必要なのか、落ち着いて考えていきましょう。
会社や公的な機関の援助は積極的に受ける
現在、がんの治療に伴うさまざまな助成や生活支援があります。まずは会社に相談してみましょう。そして、市町村や都道府県などの介護・福祉サービスで、今の自分が使えるサービスがあるかを調べます。どんなサービスでも利用できるものは、遠慮せずに積極的に相談して利用してください。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三
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