入浴はひと工夫で気兼ねなく

最終編集日:2022/1/28

体を温め、リラックス効果のある入浴は感染予防のためにも大切。温泉などで人目が気になるときは、少しだけ工夫してお風呂を楽しんではいかがでしょう。


体を清潔に保つ入浴は積極的に


化学治療中も、体調が悪いなどで禁止されていなければ入浴できます。夏に汗をかくのはもちろん、冬も室内は気温が高く、服を重ね着することが多いため、汗で蒸れやすい状態です。体を清潔にするために、なるべく入浴しましょう。また、体を温めると血行がよくなり、しびれや痛みの改善にもつながります。発熱時や体がだるくて入浴できないときなどは、かたく絞ったタオルで体をふくとよいでしょう。
放射線治療中も、通常通り入浴が可能です。しかし、気をつけたいのが、治療の位置を合わせるマークを消さないことです。湯船に入ったり、石けんは使っても構いませんが、マークの部分はできるだけ触らないようにしてください。また、放射線が当たっている皮膚は赤くなったり、刺激に対して敏感になっています。強くこするなどの強い刺激を与えないようにしましょう。 入浴後の保湿剤については、主治医に確認してから使用してください。


肌を刺激しないことがポイント


肌の乾燥は、さまざまな皮膚障害を引き起こします。体を洗うボディソープや石けんは、皮膚の脂をとりすぎないために、中性あるいは弱酸性のものを選ぶとよいでしょう。そして、できるだけ皮膚の表面を傷つけないよう、たっぷりの泡でやさしく包み込むようにして洗うのがコツです。また、高温の入浴やシャワーはかゆみを引き起こすこともあります。ややぬるめの、自分に合った温度の湯に入りましょう。


人目が気になる温泉もあきらめないで


手術に伴う外見の変化で、温泉や銭湯などに行きづらくなった……、という声もよく聞かれます。特に、乳房を切除した乳がんの患者さんや、ストーマ※1を装着している大腸がんの患者さんは人目を気にして公共の場での入浴をためらうことが多いようです。
しかし最近は、乳がん患者さん用の入浴できる下着「バスタイムカバー」や、乳がんの人を積極的に受け入れる「ピンクリボンのお宿※2」があります。大腸がんの患者さんには、ストーマをパウチの上から覆うことができる防水シートなど、多くの商品があります。
病気だからと、楽しみをあきらめてしまうことはありません。不安な場合は、看護師などに相談してみましょう。



※1 ストーマ
人工肛門や人工膀胱(ぼうこう)など、手術により、腹壁につくられた排泄口(はいせつぐち)のこと。


※2 ピンクリボンのお宿
気兼ねなく入浴を楽しめるよう、洗い場に間仕切りを設けたり、貸し切り風呂に対応するなど、乳がん患者さんの目線で対応してくれる宿のこと。www.ribbon-yadonet.jp/about/

監修

がん研有明病院,健診センター検診部部長,リンパケア室長

宇津木久仁子

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