悪性胸膜中皮腫

あくせいきょうまくちゅうひしゅ

最終編集日:2022/1/11

概要

肺には胸膜という薄い膜があります。胸膜の表面にある中皮細胞に発生するがんが悪性胸膜中皮腫です。悪性度の高い腫瘍であることが特徴です。

悪性胸膜中皮腫は進行度合いによって、がんの広がり方、隣接する臓器やリンパ節などへの転移の有無などに違いがあります。

・Ⅰ期

がんが片側の胸膜内にとどまっている

・Ⅱ期

がんが胸膜内から肺や横隔膜へと広がり、胸膜内リンパ節への転移もある

・Ⅲ期

Ⅱ期より外側の胸壁や心膜までがんが広がり、反対側の肺のリンパ節への転移が起こっている

・Ⅳ期

腎臓や肝臓などの臓器への転移がみられる

原因

アスベスト(石綿)が原因で発症すると考えられています。アスベストを取り扱う事業所に従事していた人や、アスベストを取り扱う事業所の近隣住民などにも多くみられます。

アスベストを吸ってから発症するまでの期間は20~50年と長く、そのため高齢の患者が多いことも大きな特徴です。通常、人のからだは異物を吸い込んでもせきたん、粘膜などの働きによって異物を排出しますが、アスベストの繊維はきわめて細く、吸引すると肺内に蓄積するといわれています。取り込まれたアスベストの長期的な刺激により、悪性腫瘍が発生すると考えられています。

症状

胸水の増加に伴う激しい胸の痛み、せき、呼吸困難、胸の圧迫感などの症状が現れます。

検査・診断

胸部X線検査やCT検査を行い、胸水がたまっている、胸膜に腫瘤がある、胸膜が不規則に厚くなっているといった所見が認められると悪性胸膜中皮腫を疑います。

つづいて胸腔鏡検査で胸膜に異常がみられる部分を採取して生検を行います。

治療

Ⅰ~Ⅲ期は、手術で腫瘍を切除し、抗がん剤による化学療法や放射線療法を組み合わせた治療を行います。患者さんの年齢や健康状態から手術はむずかしいと判断された場合には、薬による治療(化学療法、がん免疫療法)が中心となります。

痛みなどのつらい症状をやわらげるための緩和療法(緩和ケア)も行われます。悪性胸膜中皮腫は発症すると進行が速いため、早期の段階から緩和療法を始めるケースが多くみられます。

セルフケア

療養中

治療期間中は、痛みやだるさ、息苦しさなどの病気に伴う症状だけでなく、化学療法の副作用なども現れ、心身ともにストレスのかかりやすい状態に陥ります。つらいと思うときには無理にがまんせずに、緩和療法で症状をやわらげたり医療スタッフや周囲の人に相談したりしながら、ストレスの軽減を図りましょう。

予防

過去にアスベストにかかわる仕事に就いていた人やその家族、アスベスト関連の事業所近くに住んでいた人などは、将来的に悪性胸膜中皮腫や肺がんを発症する恐れがあります。

アスベストを吸引した可能性がある場合には、厚生労働省の相談窓口や呼吸器内科へ相談してみましょう。労災保険給付などを受けられる制度があります。

監修

寺下医学事務所 医学博士

寺下謙三

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